宗田先生は亡くなる直前まで創作意欲に溢れていた
宗田さんがとくに熱を込めて語られたのは、地震・水害など天災への備えの大切さ、そして「戦争反対」という言葉が印象深かった。宗田さんは戦時中、学徒勤労動員で鉄工所で働き、特攻訓練も行った。戦争が激しくなると、死をも覚悟したという。ところが、終戦後、大人たちは手のひらを返し、夢を持って“生きる”よう語り出した。宗田さんは腹が立ち、大人は信用できないと思ったという。
海外へ目を向けると、世界大戦が終わって80年近く経った現代でも、大人たちは相変わらず戦争をやめない。嘆き呆れ、争いなどやめて助け合うことが大切。やさしい人になってほしいと願い、戦争を経験した大人として、後世に伝えていかなければならない、と話していた。
取材に同席し、普段も宗田さんの日常生活や執筆活動を支えていたご子息によると、「今日はとくに元気で饒舌」とのことだったが、別れ際、握手を交わした宗田さんの手は小さく感じた。宗田さんの言葉は作品にたくさん残されている。大切に読み継いでいきたい。
(取材・文/中野裕子 撮影/山口比佐夫)
*宗田さん最後となったインタビュー記事は後日、あらためて配信する。