機能性表示を巡ってはたびたび問題が発生。「中性脂肪低下」などの機能性表示が根拠不充分として景品表示法違反の措置命令を受けたサプリメント「きなり」(時事通信)

機能性表示を巡ってはたびたび問題が発生。「中性脂肪低下」などの機能性表示が根拠不充分として景品表示法違反の措置命令を受けたサプリメント「きなり」(時事通信)

成分の90%が添加物、天然由来でも安全とは限らない

 本来入るはずのない成分が混じっているどころか、サプリメントには「主成分の含有量について規定がない」と左巻さんは指摘する。

 たしかに、パッケージに書かれた原材料名をよく見てみると、商品名などでアピールされている原材料のほかにも、さまざまなものが使用されていることがよくわかる。その大半は添加物だ。

「サプリメントは主成分がどのくらい含まれているかを調べることが義務付けられていません。場合によっては成分の90%が添加物というサプリメントもあります」(左巻さん・以下同)

 添加物は、成分を錠剤やカプセルの形にする過程で必要となるが、使用されるものでもっとも多いのは乳糖だという。しかし、日本人、特に高齢者にとって乳糖は決して歓迎できる添加物ではない。

「日本人には、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロするような乳糖不耐症の人が多いといわれています。消化酵素であるラクターゼが欠乏することで、乳製品に含まれる乳糖が消化できない状態を指し、下痢や腹部のけいれん痛を起こします。高齢になって消化機能が衰えた人はよりダメージを受けやすい」

 ほかにも、着色料や甘味料、香料や保存料が使われているケースも多い。 「ただ、食品添加物は認可を得るために厳しい審査を経ています。皮肉なことにその点では、充分に精査されているとは到底言えない主成分よりは安全かもしれません」

 添加物が少なく、主成分は天然のものなら安心かというとそうではない。平地さんが言う。

「昨今、スポーツ選手は漢方薬など生薬(植物や動物、鉱物のうち薬効があるとされるものを加工したもの)を含む薬をのみません。成分として何が入っているかがわからず、ドーピング検査にひっかかることがあるからです。

 天然物だと主成分以外にも何百、何万という成分が入っており、何がどう悪さをするのかは把握し切れていません」

 また、天然のものとは言っても、それが何由来でどのように加工したかについて、消費者にはわかりえないのが現状だ。

「たとえば免疫活性効果が期待されるとうたわれるアガリクスの原料はカワリハラタケというきのこの一種です。栽培でよく行われているワラや糞尿などの堆肥を使うか、おがくずを使うかによって成分が変わります。

 記憶力などに効くとされるイチョウ葉エキスについても、エキス化するときにイチョウの葉からギンコール酸というアレルギー反応を引き起こす成分を取り除かずにサプリメントに加工し、健康被害を引き起こしたという報告があります」(左巻さん)

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