江夏豊(右)と田淵幸一の「黄金バッテリー」

江夏豊(右)と田淵幸一の「黄金バッテリー」

幻の「掛布トレード案」

掛布:そのあたりも勝てなかった理由ですか?

田淵:そういうことやね。手を出すのはいけないけど、選手たちはそれだけ鬱憤が溜まってたってことだろう。あの中日戦の前に岡本伊三美ヘッドコーチがメンバー表を見て「おかしい」って監督に聞きに言ったんだから。監督とコーチで意思疎通できてないってこと。

掛布:もうひとつ聞きたいことがあるんですが、中日戦の前に江夏さんが球団事務所に呼ばれて「優勝しなくていい」と伝えられたと聞いたんですけど、本当ですか!?

江夏:本当よ。

掛布:そんなこと言わないでくださいよ(笑)。

江夏:だって本当だからしょうがないじゃない。

田淵:俺たちはそう聞いても驚かないよ。セコかったし、こういう球団だと思ったから。だから10年で6回も2位なんだ。

掛布:そういうことなんですね。

田淵:あとタイガースは豊を1976年オフにトレードに出したでしょ。次に俺。

掛布:当時、僕はペーペーでしたが、「なぜお二人が縦縞を脱がなきゃいけないんだ」と理解が追いつきませんでしたよ。寮でも「なんでだ?」って大騒ぎでしたから。田淵さんがいらしたら、僕は四番にはならなかったでしょうし。

江夏:出された俺がわからんのだからな。まさか俺がトレードなんて夢にも思わなかった。

田淵:俺もオフの深夜1時近くに電話がかかってホテル阪神に来いと。電話の時点でトレードだとわかった。後で聞いたら、どうも当時の監督の(ドン・)ブレイザーに出されたみたい。

掛布:お二人の一件でタイガースが嫌いになってしまいました。僕たちが意識していたライバルの巨人は生え抜き選手をとても大切にするのに、なぜ阪神は球団を代表する二人を大事にしないんだと。田淵さんからは「カケ、お前は最後まで縦縞のユニフォームを着ておけよ」と言われたのをすごく覚えています。

江夏:しばらく後の話だけど、(トレード話で)カケの名前も出てたっていうからな。

掛布:そうなんです。南海に決まっていたらしいです。

江夏:藤田平も決まっていたらしいよ。

掛布:ええ!?

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