岸田文雄・首相(時事通信フォト)
5月21日には自民と維新の国対委員長会談が行なわれ、維新が企業・団体による政治資金パーティー券の購入禁止など、公明党よりハードルが高い独自案を示したことから協議はまとまらなかったが、実はその前日、維新の地盤である大阪府議会の副議長選びで自民と維新の“接近”を示す出来事があった。
府議会最大会派の大阪維新の会がこれまで副議長を出していた第2会派の公明党を外し、第3会派の自民党に副議長ポストを与えたのだ。これで自公の亀裂は一層広がった。前出の元公明党幹部の言葉は厳しい。
「自民と維新の接近は、岸田首相が総選挙で自民が議席を大きく減らした場合に、維新を連立に加えることをにらんで秋波を送っているということでしょう。
しかし、その前に政治資金規正法の改正がある。自民党は参院で過半数を持っていないので、首相が今国会で改正案を成立させるためには公明党の賛成が欠かせない。当然、公明党に法案修正を持ちかけてくるだろうが、簡単には妥協しない。山口代表が首相に通告したように、この問題では野党の主張に与することになる。
そうなれば法案修正協議は大揉めになり、最終的には岸田首相の退陣表明と引き換えに改正案を成立させるという状況になることも考えられる。自民党が単独で修正案を出した段階で、公明党執行部はそういう展開をにらんでいる」
国会最終盤で公明党による“岸田降ろし”が勃発するという見方だ。
※週刊ポスト2024年6月7・14日号