ライフ

【関節痛治療のための“人工関節の手術”】リハビリの要は「患者の“ゴール”を見極め併走してくれる医師を見つけること」

60歳以上の80パーセント以上が関節症に悩んでいる

60歳以上の80パーセント以上が関節症に悩んでいる

 関節に痛みを感じる人は加齢とともに増加し、60才以上の人口の80%以上が、ひざ、ひじ、股関節、脊椎などの変形性関節症に悩んでいるという報告もある。人生100年時代を生き抜くため、やわらげる方法から手術を経た後のリハビリまで最新情報をジャーナリストの鳥集徹氏がリポートする。【前後編の後編。前編を読む】

 * * *

最終手段は「温活」と「杖」

 保存療法やリハビリ、運動を組み合わせてもなお痛みが改善せず、慢性化するケースもある。北里大学病院整形外科講師で、股関節外科やスポーツ医学を専門とする福島健介医師がアドバイスする。

「そうした場合、いったん温めてみた方がいい。ぶつけたばかりとか、腫れて熱を持っている場合は『急性痛』と言って、冷やした方がいいですが、長期間うずくような痛みがあるときには、お風呂で少し長めに半身浴をするなどして、体を温めてください。

 加えてひざや股関節などが痛いのに長距離を歩く必要がある場合には、杖をつくことをおすすめします。日本では杖を嫌がる人が多いのですが、確実かつ簡単に関節にかかる負荷を減らせます。体形や筋力を急に改善するのは無理ですから、痛みががまんできないときには恥ずかしがらずに、杖を使うことも検討してみてください」

 関節の痛みをとるには、手術を受ける方法もある。特にひざや股関節の骨がすり減って強い痛みが出て、歩けなくなったり夜眠ることができなくなるなど日常生活に支障が出た場合は、人工関節に入れ替える手術が選択肢に入ってくる。広島市民病院副院長・整形外科部長で、スポーツ選手や中高年のひざの痛み治療に加え、軟骨の再生医療にも取り組んできた出家正隆医師が話す。

「日本人は人工関節にするタイミングが、欧米の患者に比べて遅い傾向にあります。しかし人工関節の手術は、脚の機能が落ち切ってからよりも、その前に行った方が、術後の回復が早いんです。患者さんの中には、『車椅子になったら受けます』と話す人もいますが、それでは遅い。私は『10分歩けなくなったら人工関節のタイミングだ』と講演で話しています」

関連キーワード

関連記事

トピックス

炊き出しボランティアのほとんどは、真面目な運営なのだが……(写真提供/イメージマート)
「昔はやんちゃだった」グループによる炊き出しボランティアに紛れ込む”不届きな輩たち” 一部で強引な資金調達を行う者や貧困ビジネスに誘うリクルーターも
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
藤浪晋太郎(左)に目をつけたのはDeNAの南場智子球団オーナー(時事通信フォト)
《藤浪晋太郎の“復活計画”が進行中》獲得決めたDeNAの南場智子球団オーナーの“勝算” DeNAのトレーニング施設『DOCK』で「科学的に再生させる方針」
週刊ポスト
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
「漫才&コント 二刀流No.1決定戦」と題したお笑い賞レース『ダブルインパクト』(番組公式HPより)
夏のお笑い賞レースがついに開催!漫才・コントの二刀流『ダブルインパクト』への期待と不安、“漫才とコントの境界線問題”は?
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン
韓国・李在明大統領の黒い交際疑惑(時事通信フォト)
「市長の執務室で机に土足の足を乗せてふんぞり返る男性と…」韓国・李在明大統領“マフィアと交際”疑惑のツーショットが拡散 蜜月を示す複数の情報も
週刊ポスト
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
高校時代にレイプ被害で自主退学に追い込まれ…過去の交際男性から「顔は好きじゃない」中核派“謎の美女”が明かす人生の転換点
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《死刑執行》座間9人殺害の白石死刑囚が語っていた「殺害せずに解放した女性」のこと 判断基準にしていたのは「金を得るための恐怖のフローチャート」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《小室圭さんの赤ちゃん片手抱っこが話題》眞子さんとの第1子は“生後3か月未満”か 生育環境で身についたイクメンの極意「できるほうがやればいい」
NEWSポストセブン
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
【独占インタビュー】お嬢様学校出身、同性愛、整形400万円…過激デモに出没する中核派“謎の美女”ニノミヤさん(21)が明かす半生「若い女性を虐げる社会を変えるには政治しかない」
NEWSポストセブン