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お祭りの露店、現役暴力団幹部が歩いてみたら…テキヤや一般人、店主の元組員が示した意外な反応

夏祭り、楽しみのひとつは露店めぐり(イメージ、時事通信フォト)

夏祭り、楽しみのひとつは露店めぐり(イメージ、時事通信フォト)

 警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、暴力団幹部が案内する最近の露店事情について。

 * * *
 夏祭りの季節がやってきた。東京都内の各地では週末ごとに威勢のいい掛け声とともに神輿を担ぐ姿がみられるようになった。祭りといえば屋台や露店。露店といえばテキヤ。テキヤとヤクザは別物だが、テキヤ系暴力団なるものも存在する。そのテキヤ系暴力団を出身母体にもつ現役の暴力団幹部とともに祭りを歩くとどうなるのか、著者の体験談を報告しよう。

 その日東京は真夏日になったため、待ち合わせは夕方から。祭りの行われている神社の前に到着し、幹部に電話すると「そこで待ってて。俺がそこに行く」と電話が切れた。

「今日は暑いっすね」、しばらく待つと幹部が手を上げながら現れた。明るい色のTシャツに薄い色のコットンパンツ、サンダルにブランド物の小さなトートバッグ。「半纏を着てきてもよかったんだけど、神輿を担がないのに着ていたら、偽半纏だよな」と笑う。どこにでもいるイケオジといった風貌だが、目つきは鋭く、雰囲気はカタギの一般人とは違う。「こっちに知り合いが1本出しているから」というので、彼の後についていく。露店は1本、2本と数えるという。

 焼きそばやリンゴ飴など露店が軒を並べる間を大勢の人が行き交い、思うように身動きが取れない。祭りが行われている神社は幹部の地元でもシマでもないが、長年テキヤとは関わりがあった幹部だけに、いくつかの露店には顔見知りもいるはずだ。まだキャッチがどこの繁華街でも横行していた頃、幹部にシマ内の飲み屋街を案内してもらったことを思い出す。店の前に立つ黒服やキャッチが次々と挨拶していく光景はVシネの映画のようだった。あれから時が経ち、世間の目はヤクザには厳しくなった。挨拶する者や声をかけてくるような同業者はいるのだろうか。

「現役の組員が店に立つことはあるのか」と尋ねると、「今は厳しくなったから現役はいないだろう。組を辞めたヤツ、辞めさせられたようなヤツはいる。それより組員の奥さんや娘、息子がやっている方が多いかもな」という。現役の組員に露店は出せないが、家族であれば露天商は営めるからだ。

 人波にもまれながら、知り合いの露店を探し、周りを見回しながら歩く幹部を見つけ、焼きそばを焼いていた男がすっと顔を伏せた。「○○を辞めたヤツだ」と幹部は前を向いたまま言う。少し進んだ金魚すくいの店の前では、客を呼び込んでいた男が幹部に気が付き、ハッとした顔で目を見開いて立ちすくんだ。だがどちらの男も声はかけてこなかった。幹部が声をかけることもない。

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