現在は8月のコンサートに向けて、準備の日々を送る氷川(写真は氷川のインスタグラムより)
「大文字にしてドットをつける」
この商標登録騒動について、鮫島法律事務所の鮫島千尋弁護士はこう指摘する。
「拒絶の理由として『他人の著名な芸名』というだけでなく、あえて公序良俗違反を持ち出していることに特許庁の意志を感じます。氷川さんの独立にまつわる騒動については、以前から報じられていました。そうした渦中に前事務所が申請するのであれば、当人の承諾を得ているという説明が必須なはずで、いちばんの解決策です。その手当てを省いている点は、話し合いが難航しているか、そもそも話し合いができない状況なのでは、という印象も受けました」
当初、独立のネックとなったのは都内の高級住宅地にある氷川の自宅につけられた約3億5000万円の抵当権だった。長良プロが貸し付ける形で豪邸購入の資金を用立て、その返済が退所条件のひとつだったとみられていた。氷川は退所直前に大手金融機関に借り換えて“独立金”を用意し、返済した模様だ。それでも晴れて再始動とはいかず、なお復活の障壁が残る。
「ファンクラブの移行も済んでおらず、前事務所が管理する形になっています。長良プロは『氷川きよし』という名前も商標登録しており、昨年8月に更新申請したことで、2033年までの存続が確定しました。独立した氷川さんが商品開発などで氷川きよしの名前を使う場合、何らかの費用が発生する可能性があります」(別の芸能関係者)
福地国際特許事務所の福地武雄代表弁理士は、「日本弁理士会が発刊している、『知的財産価値評価ガイド』によると、キャラクターの分野別使用料という項目があり、例えばタレント関係ですと、売上の6%程度という相場感が示されています」と指摘する。
これまでも芸能人が独立する際に旧芸名の使用を制限され、再出発に支障を来す例はあった。氷川きよしにKiinaまで“囚われの身”になってしまうとなれば、氷川はどうなるか。
「長良プロは、独立阻止や今後のタレント活動を妨害する意図はまったくないと意見書で明言しています。ただし、長年バックアップしてきた歌手だけに権利関係については、後腐れのないよう時間をかけて丁寧に協議するつもりなのでしょう。今後の活動に彼らがどれだけかかわるのかも焦点となってきます」(前出・別の芸能関係者)
長良プロに「Kiina」と「氷川きよし」の商標登録出願などについて尋ねると、代理人弁護士を通じて次のように回答した。
「長良プロダクションは、氷川さんが独立した後も、氷川さんが『氷川きよし』等の名称・商標の使用を妨げることはなく、その商標使用について対価を得ることはありません。その他のご質問に関しましては、長良プロダクションから個別に回答することは差し控えさせていただきます」
「氷川きよし」の使用に支障はないとしながら、「Kiina」を巡る協議については明言を避けた格好だ。そんな膠着する事態を打開するためなのか、“第3の名称”も浮上している。
「氷川さんは前事務所への恩返しのような形で、ファンクラブが存続する来年1月までは、氷川きよし名義の活動を続けると聞いています。その後は権利問題を回避するため、『KIINA.』と愛称を大文字で表記し、さらにドットをつける案も浮かんでいるそうです。たしかに、氷川さんの公式Xや8月のコンサートの告知では『KIINA.』と表記されており、商標トラブルを回避する布石かもしれません」(前出・芸能関係者)
活動休止から500日の長い沈黙を経て、ついに動き出した新生・氷川きよし。名前がどう変わろうが、ファンはきーちゃんの変わらぬ笑顔と歌声を待っている。
※女性セブン2024年7月11・18日号