フランシスコ・ガリゴス(写真/共同通信社)

フランシスコ・ガリゴス(写真/共同通信社)

 正木氏は「主審の立ち位置」にも問題があったとみている。

「主審の立ち位置は、立ち技の時はあまり近づくと選手と触れてしまうが、寝技の場合は動きが少ないため近づきやすい。後者の場合、特に絞め技は横からではなく、頭のほうからのぞき込むように見ないといけない。横からでは見えません。頭のほうから近づいて声を掛けると選手も『待て』などが聞こえるし、ダメならすぐに背中や腕を叩けばいい。大誤審だと思います。

 ビデオを見ている審判員の監督人、いわゆる『ジュリー』も失敗を犯していますね。どのタイミングで『待て』と言ったのかが問題です。『待て』の前に落ちていたのか、『待て』と言っても技をかけ続けたために落ちたのかを検証しないといけなかった。全日本クラスの試合ではありえないというか、初めて見た判定ですね。

 あと、男女差別という話ではなく、やはり格闘技の場合は男子の試合を男性の審判員が、女子の試合は女性の審判員が判断するべきだと思います。力はもちろん、動き、技の柔らかさとすべてにおいて男女で違うので、男子の試合では男性、女子の試合では女性が審判員をやったほうがミスも少なくなるし、選手の安全も守れると思います」

【プロフィール】
鵜飼克郎(うかい・よしろう)/1957年、兵庫県生まれ。『週刊ポスト』記者として、スポーツ、社会問題を中心に幅広く取材活動を重ね、特に野球界、角界の深奥に斬り込んだ数々のスクープで話題を集めた。主な著書に金田正一、長嶋茂雄、王貞治ら名選手のインタビュー集『巨人V9 50年目の真実』(小学館)、『貴の乱』、『貴乃花「角界追放劇」の全真相』(いずれも宝島社、共著)などがある。ゴルフの競技委員のほか、野球、サッカー、大相撲など8競技のベテラン審判員の証言を集めた新刊『審判はつらいよ』(小学館新書)が発売中。

※週刊ポスト2024年8月16・23日号

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