長い役者人生の最初の転機となったのは、大河ドラマ『太閤記』(1965年)の出演だったという
自らの「引き際」をどう考えるのか──。石坂は少し間を置いて、「その問いは本当に難しいですね」とつぶやいた。
「いろいろなことを少しずつ辞めるのか、一度に辞めたほうがいいのか。難しい問題だからあまり考えないようにしています。とはいえ、これから体にガタが来たらどうするかは考えておく必要がある。ただ、どうしたって老いていく。うまくいっていることや流れには“逆らわないほうがいい”と思うようにしています」
最近、「終活」という言葉が定着し、人生の終わりに向かって準備を進める人が増えてきた。だが、石坂は無関心だという。
「団塊世代がどーんとリタイアしたから、その人たち向けの話題で『終活』が出てきたのでしょう。私の周りで終活の話をする人はいないし、している人も知りません。僕もする気はないし、まぁ、なるようになりますよ」
(了。前編から読む)
※週刊ポスト8月16・23日号