2012年総裁選。左から安倍晋三氏、石破茂氏、町村信孝氏、石原伸晃氏、林芳正政氏(時事通信フォト)
【安倍晋三vs石破茂(2012年)】
近年の総裁選で最大のサプライズが起きたのは、安倍晋三氏が返り咲いた2012年総裁選だ。「本命」候補だったのはキングメーカーの森元首相と青木氏が推した石原伸晃氏だった。
だが、当時の谷垣禎一・総裁を支える立場の幹事長だった石原氏が出馬し、それにより谷垣氏が出馬断念に追い込まれたことで、石原氏は「明智光秀」と批判を浴びて1回目の投票で3位となり、「本命」が決選投票に残れなかったのだ。
1位は党員票の過半数を得た石破氏、2位につけたのは“泡沫候補”だった安倍氏だ。
「同じ清和会から出馬した町村信孝氏が総裁選さなかに入院したため、清和会の票が安倍氏に流れて運良く2位になった。本命の石原氏が残らなかったことで、森氏や青木氏は石破氏の総裁就任を阻止するために決選投票では次善の策として安倍支持に回って安倍氏が議員票で逆転勝利した。悪運が強いとしかいいようがない出来事だった」(前出・野上氏)
こう見ると、総裁選で下剋上を起こすには、国民や党員の圧倒的支持や、その候補が持つ強運がカギを握るとわかる。果たして、今回の総裁選でその可能性を持つ候補がいるのだろうか。
※週刊ポスト2024年9月13日号