母親の要求は飛躍した印象を与えるだけに、山口氏にも言い分があるだろう。しかし、反論に際しては、事の始まりであるA子さんとの出来事についても説明が必要だ。本誌・週刊ポストが山口氏にキスの事実関係、「ガス会社の社員」を名乗った理由などを質問すると、事務所を通じてこう回答した。
「(A子さんを送り)マンション共用部分に入りました。エレベーターの中で泥酔し倒れそうになった女性に抱きつかれるなどしましたが、エレベーター前で待っていた、実家の女性の母親に引き渡しました。女性の母親は帰宅が遅いとして泥酔している女性を叱り、また、私にも怒りをぶつけてきましたので送ってきた経緯を説明しました」
ガス会社の社員を名乗った理由、そしてキス行為について説明がないまま、文書回答はこう続く。
「その後、女性の母親から個別に呼び出しがあり、自身が受けた精神的損害について慰謝料として30万円を要求されましたのでお断りしたところ、数日後、母親の代理人を名乗る別の男性2人から別々に慰謝料の請求と要求に応じない場合は週刊誌などで記事になる可能性が示唆されましたので、悪質な恐喝行為に該当する可能性があるものとして警察に相談している」
一方のA子さんも、山口氏からセクハラを受けたと警察に被害届を提出した。店で同席した先輩議員の穂坂泰氏に聞くと、「(店を出た後のことは)関知するところではございません」との回答だ。山口事務所に改めて確認したが、「ガス会社の社員」を名乗ったのは「事実に基づいた説明で偽りではない」との答えで、キスの説明はなかった。
父が代表を務めるガス会社の登記を見ると、たしかに山口氏も取締役だ。それにしても、会う人みんなに「国会議員の山口」ではなく、「父が経営するガス会社の山口」と自己紹介するのだろうか。そうした行動にこそ“ボンボン二世議員らしさ”が現われている。
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