わずか3カ月で55億5000万円をだまし取られる被害に(Netflix公式より)
今回入手した報告書の素案には、積水側が、黒塗りにして公開した報告書にはない一節がある。〈本事件の責任〉として、現場から経営陣に至るまでの責任の所在を総括した章に〈業務執行責任者の責任〉の項目がある。当時の社長のことだ。
公表された報告書には、〈本件取引の全体像を把握して、誤った執行にならないよう防ぐ責任は業務執行責任の最高位者にあり、最後の砦である。業務執行責任者として、取引の全体像を把握せず、重大なリスクを認識できなかったことは、経営上、重い責任がある〉とだけ綴られている。
ところが、今回筆者が入手した「報告書」には〈最後の砦である〉との記述の後に、〈社長の本件との接点は以下の通りであるが、各タイミングでの適切な判断と対応が行われたのか〉との一文が続いている。
そして、〈社長決裁直前の現場視察時に、物件は、荒廃したまま長期間放置された状態であった〉〈社長は、(中略)リスク情報は問題ないと判断して、決済の前倒しを了解している〉などと社長と取引との関わりと責任を5点に渡り、具体的に指摘しているのだ。
その上で、〈業務執行責任者として、取引の全体像を把握せず、重大なリスクを認識できなかったことは、経営上、重い責任がある〉と断じている。なぜ、公表版の報告書からこれらの文章が削除されたのか。
「積水ハウス」の内部事情に詳しい同社関係者はこう声を潜める。