満州事変(昭和6年/写真=共同通信社)

満州事変(昭和6年/写真=共同通信社)

片山:プランを立てた石原莞爾としては日本と満州を維持し、数十年後の戦争に備え安定した状態を作りたかったのでしょうけど、満州の資源をよく調べずに手を出してしまった観があります。

 一方の海軍は北樺太の石油にはとてもこだわったのですよ。シベリア出兵の後も樺太から退かなかったのはそこですね。しかし結局、見通しが甘い。ソ連が内部崩壊すれば転がりこんでくるくらいのこと以上、考えられなかった。結果的に松岡洋右が利権を手放す方向に妥協してしまう。肝心な石油はいつまで経っても思うように手に入らないわけです。

 話は飛躍しますが、仲小路彰や小島威彦のスメラ学塾というグループがありましたよね。

佐藤:はい。天皇家の先祖はシュメール(※古代メソポタミア=現在のイラク南部)で、スメラミコトはそれに由来すると主張した。

片山:あれには海軍大将の末次信正が絡んでいて、その発想の源はやはり石油なんですね。つまり、朝鮮併合の時に日鮮同祖論が出たように、シュメールと天皇が同祖ならイラクのあたりまで石油を採りに行っていいという話になる。これに海軍が乗って、太平洋よりもインド洋が主戦場だと主張する流れも生じた。

佐藤:すると相手はイギリスになるでしょう。やはり昭和の初期までは、思想的な潮流を見てもアメリカよりもイギリスを敵視する傾向が強かった。

片山:北一輝は、アジアに進出しているロシアとイギリス憎しだった。かつてロシアを叩くために日英同盟(1902年)を結んだのと同様に、今度は中国に進出したイギリスを叩くために日米同盟を結ぶべきという考えでしたね。

佐藤:大川周明も米英可分論を唱えた。『米英東亜侵略史』の中でも、アメリカとイギリスに対する評価がまったく違う。

片山:なにしろ彼はイギリスがインドにひどい支配を布いてることからアジア主義に目覚めた口ですから。アメリカはなんとかすれば味方にできる、という期待感がアジア主義者にはありました。

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