芸能

「さよならだけが人生さ」高田文夫氏が偲ぶ2024年に旅立った仲間たち 篠山紀信さん、稲川素子さん、中尾彬さん、桂ざこばさん、山藤章二さん…寂しい

2024年に旅立った仲間たちとの思い出(イラスト/佐野文二郎)

2024年に旅立った仲間たちとの思い出(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、2024年に亡くなった著名人たちについて綴る。

 * * *
 私の予想通り、「さよならだけが人生」のようだ。今年もたくさんの「グッバイ」があった。私の調べによると著名人での最高齢は「桂米丸 99歳」(8月)。2位は昨日私の近所に住む「久里洋二 96歳(アニメ王)」が他界。あまりにも多くの著名人が亡くなっているのでここでは私に近い人のみ記しておく。

 1月には日芸の我が先輩で会うといつも下らない話で盛りあがる篠山紀信(83歳)サンタフェ王である。何冊もの本を一緒に作った漫画王高橋春男(76歳)。本物の与太郎だ、とほめてあげたら箸をのどにつきさし涙ぐんで喜んでいた。

 5月には『ダディ竹千代のオールナイトニッポン』からふんだくって『ビートたけしのANN』を始めた私。そのダディ竹千代(70歳)が亡くなってしまった。フジテレビの深夜に始めた『全日本ガイジン選手権』。私と稲川素子(90歳)が審査員で(今は外国人という)司会にフジの福井謙二とルビー・モレノ。稲川さんが「何かに使って」とルビーを連れてきた。すぐに映画『月はどっちに出ている』主演で大ブレイク。中尾彬(81歳)が亡くなったのもネジネジの5月だ。銀座の“美弥”というBARで談志、中尾、高田でよく飲んだっけ。なんたってカミさんが池波志乃、その父ちゃんがいぶし銀の金原亭馬生、その弟が天下の古今亭志ん朝、その父があの古今亭志ん生である。

 6月には上方では私と同年代の「桂ざこば 76歳」。『ざこば・鶴瓶らくごのご』という番組に東京代表の様な顔をして大阪までゲストで行ったっけ。本音しか言わない男だった。アラン・ドロン(88歳)とは何のかかわりもなかったが資料として書き留めておく(8月)。

 9月には一番世話になった山藤章二(87歳)画伯が。作家をやりながら深夜テレビで私がチラッと一席やったらそれを見逃がさず、すぐに紀伊國屋ホールを押さえ、私の「立川藤志楼独演会」シリーズが始まった。それを見てひっくり返ってうけた談志と山藤の推せんで88年に私は真打に昇進した。私の才能を見出してくれた恩人。俳句では我々の宗匠であった。

 10月には同世代の西田敏行(76歳)、11月には大好きだった火野正平(75歳)も亡くなった。人として面白い人が次々といなくなってしまう。

 そして私のひとまわり下のネズミ年、一番気があった関西人・桂雀々(64歳)も「必死のパッチ」でいなくなった。毎年12月は国立演芸場でふたりで「チュウチュウマウス会」なるコーナーもやっていたのに。小学生の時父に逃げられ母も逃げひとりで生活。父親にすがるように枝雀師の所へ入門したのに師もあの最後。私を兄のように慕ってくれたのに……寂しい。

※週刊ポスト2025年1月3・10日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

中居、国分の騒動によりテレビ業界も変わりつつある
《独自》「ハラスメント行為を見たことがありますか」大物タレントAの行為をキー局が水面下でアンケート調査…収録現場で「それは違うだろ」と怒声 若手スタッフは「行きたくない」【国分太一騒動の余波】
NEWSポストセブン
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
皇室に関する悪質なショート動画が拡散 悠仁さまについての陰謀論、佳子さまのAI生成動画…相次ぐデマ投稿 宮内庁は新たな広報室長を起用し、毅然とした対応へ
女性セブン
定年後はどうする?(写真は番組ホームページより)
「マスメディアの“本音”が集約されているよね」フィフィ氏、玉川徹氏の「SNSのショート動画を見て投票している」発言に“違和感”【参院選を終えて】
NEWSポストセブン
スカウトは学校教員の“業務”に(時事通信フォト)
《“勧誘”は“業務”》高校野球の最新潮流「スカウト担当教員」という仕事 授業を受け持ちつつ“逸材”を求めて全国を奔走
週刊ポスト
「新証言」から浮かび上がったのは、山下容疑者の”壮絶な殺意”だった
【壮絶な目撃証言】「ナイフでトドメを…」「血だらけの女の子の隣でタバコを吸った」山下市郎容疑者が見せた”執拗な殺意“《浜松市・ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
【体にホチキスを刺し、金のありかを吐かせる…】ルフィ事件・小島智信被告の裁判で明かされた「カネを持ち逃げした構成員」への恐怖の拷問
NEWSポストセブン
「情報商材ビジネス」のNGフレーズとは…(elutas/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」は“訴えれば勝てる可能性が高い”と思った》 「情報商材ビジネス」のNGフレーズは「絶対成功する」「3日で誰でもできる」
NEWSポストセブン
入団テストを経て巨人と支配下選手契約を結んだ乙坂智
元DeNA・乙坂智“マルチお持ち帰り”報道から4年…巨人入りまでの厳しい“武者修行”、「収入は命に直結する」と目の前の1試合を命がけで戦ったベネズエラ時代
週刊ポスト
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン