小学校5年生で子役としてデビューした仁科さん

小学校5年生で子役としてデビューした仁科さん(写真は2004年)

その瞬間、流れ出した「涙」

「本当に嬉しかった。無精子病の僕が、子どもを授かれるなんて……。一にも二にも、妻のおかげです。妻もやっと少し安心できたのか、その場でポロポロと涙を流していました」

 奇跡的ともいえる妊娠に、互いの親も大喜びだった。妊娠後は産婦人科に移り、赤ちゃんも問題なく育っていった。今でこそ明るく話す仁科さんだが、妊娠に至るまでの苦悩、そして無事に生まれてくれるかという不安は、計り知れなかっただろう。今回、仁科さんが無精子症を打ち明けることを決めた思いを次のように打ち明けた。

「男性不妊だったからこその苦しみや、夫婦で乗り越えなければならない試練も多かったけれど、そのぶん命の尊さや、妻へのありがたみを身に染みて感じることができました。それに、一般的な人は妊娠から出産まで“10月10日”ですが、僕らの場合は受精卵という初期の状態から1年半くらいずっと見守り続けられたからこそ、“この子の父親になるのだ”という自覚も強く持てました。

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