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脱毛サロン16社破たん、2024年過去最多、安全・安心の受け方求められる、直近2年超の被害者27万人超え、東京商工リサーチが集計の結果を報告

医療脱毛大手「アリシアクリニック」運営法人が2024年12月に倒産した(時事通信フォト)

2024年12月に倒産した医療脱毛大手「アリシアクリニック」運営法人(時事通信フォト)

 調査会社の東京商工リサーチは2025年1月10日に、2024年に脱毛サロンの倒産件数が2年連続で過去最多を記録したことを報告した。

 2025年は安全・安心な脱毛の受け方を広めていくことが必要だろう。

若者に人気の脱毛サロン、競争激化で倒産が続出

 東京商工リサーチによると、2024年(1月~12月)は16件の倒産が発生し、被害者は直近2年超で27万人を超えるまでに膨れ上がった。

 2022年には「脱毛ラボ」運営のセドナエンタープライズ、2023年は「C3」運営のビューティースリー、「銀座カラー」運営のエム・シーネットワークスジャパン、2024年は「ビー・エスコート」運営のセピアプロミクスが破たんした。さらに、「アリシアクリニック」運営の医療法人も経営破たんし、エステ脱毛だけではなく医療脱毛にも経営不安が広がっている。

 ヒフコNEWSでも継続的に伝えているが、脱毛サロンは利用者から前受け金を受け取って、その資金を原資に、タレントを使ったCMを展開して人を集めるビジネスを展開している。一方で、同業者が多く、広告を打たなければ人が集まらないため、無理な広告出費がかさみ、経営が圧迫されている。

 しかも、コロナ禍で新規利用者が減る中で、採用の人件費が上昇したり、サロンの賃料が上昇したりして、コストが上昇していた。こうした中で、利益が圧迫されて経営が行き詰まるケースが続いている。

 こうした経営破たんが起きた場合には、利用者は本来受けられるはずの施術を受けることができなくなり、返金もされなくなる。救済に乗り出すサロンもあるが、割引を得られる程度の内容にとどまることも多く、利用者にとって十分な救済とは言いがたい。結局、利用者は大きな経済被害を受ける羽目になっている。

安全・安心な脱毛の受け方が求められる

 脱毛のビジネスそのものが、前受け金を得て、無理な拡大が欠かせなくなり、最終的に経営破たんするのが避けられない状況になっている。

 これで被害が利用者に及ばなければまだ救いだが、そうなってはいない。しかも、被害額が10万円を超えるような状況になっており、看過できない。

 2022年から2024年にかけてもう3年近くの期間にわたって多くの利用者を抱えた脱毛企業が破たんを続けている状況であるが、公的対策は啓発がなされている程度にとどまっている。

 2025年も、2024年と脱毛ビジネスを取り巻く環境は変わらないと見られる。こうした中で利用者ができることは、コース払いを避けて、都度払いで、施術を受ける1回ごとに支払う形に、考え方を切り替えることではないだろうか。

 脱毛は1回施術を受ければ、効果はある程度は持続するものだ。女性の場合には、硬毛化といって、脱毛施術を受けると、毛がかえって濃くなるような事例もある。こうしたトラブルを考えても、毎回の成果を見て、次の方針を検討する方がより適切な施術を続けられる面もあるのではないだろうか。

 2025年は、安全・安心な脱毛施術の受け方が広がっていくことが望まれる。

参考文献

脱毛サロンの倒産、被害者は2年超で約27万人 経営の透明化とクレジット被害の保護が急務に

アリシアクリニック注目の中、 脱毛サロン倒産が記録更新 過去最多に、エステ脱毛ばかりではなく医療脱毛の信頼も揺らぐ、帝国データバンクが報告

【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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