国際情報

中国軍が「つり橋型道路橋」を備えた特殊用途船を建造、昨年末には電磁カタパルト式発射装置を装備した大型強襲揚陸艦が進水 台湾侵攻を見据えた準備が加速

台湾侵攻も見据えての準備なのか(写真は習近平氏/EPA=時事)

台湾侵攻も見据えての準備なのか(写真は習近平氏/EPA=時事)

 中国軍が広東省広州市の造船施設で、戦車や兵士を乗せた軍用トラックなどを120メートルほどの「つり橋型道路橋」を使って上陸させることができる特殊用途船5隻を建造していることが明らかになった。主に海上から陸地への攻撃用で、中国軍の台湾侵攻用の特殊艦艇として開発したとみられる。

 また昨年末には、上海の造船所で、無人攻撃機や戦闘機を搭載でき、電磁カタパルト式発射装置を備えた次世代型の大型強襲揚陸艦「076型」(4万トン)を進水させるなど、中国軍は台湾侵攻を見据えた準備を着々と整えているようだ。米CNNなどが報じた。

 広州市で建造されているのは港湾などで大型船と陸地との間を往復して貨物や乗客を運ぶ「はしけ」状のものを備えた特殊用途船。船の先端に「つり橋」のような道路橋が装着されており、120メートルほどのつり橋上の道路橋が「桟橋」の役目を果たし、地上に接岸して、船上の戦車や兵士を乗せたトラックなどを上陸させることができる。悪天候などで海上が荒れていても対応できるという。

 米軍の偵察衛星は、広東省の広州造船所で建造中の5隻の特殊用途船を捕らえている。すでに2022年には小型の特殊用途船が建造されていたが、大型化されたものの建造が始まったのは昨年半ばごろからだという。

 この特殊用途船と同様、上陸用艦艇として建造されたのが次世代型強襲揚陸艦「076型」で、一番艦は「四川」と呼ばれている。特筆すべきは076型が採用する電磁カタパルトで、この種の艦艇に通常搭載されるヘリコプターや水陸両用車だけでなく、戦闘機を搭載することが可能になる。艦が大型化されたことで、艦載機もより多くの燃料や爆弾、ミサイルを積むことが可能になり、艦載機そのものの攻撃力も向上する。世界でも、電磁カタパルトシステムを採用している急襲揚陸艦は四川だけだとみられる。

 北京で1月20日に行われた中国国防省の定例記者会見では、この四川について、「地域の軍事的均衡を崩し、不安定化要因をもたらすと指摘する外国メディアもあることについて、コメントは?」との質問が出た。これに対して、同省スポークスマンは「中国は平和的発展路線を終始堅持し、防御的国防政策を終始変わらず遂行している。076型強襲揚陸艦の進水は海軍装備の発展における通常の措置であり、いかなる特定の国、地域、目標も念頭に置いていない」と答えている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン