国際情報

《トランプ氏“公開大げんか”で動き出した》「安全保障が担保されれば辞任してもいい」ゼレンスキー氏“捨て身の一撃”でウクライナ戦争「4月終結」のシナリオ

ウクライナへの軍事支援を一時停止したアメリカのトランプ大統領(時事通信フォト)

ウクライナへの軍事支援を一時停止したアメリカのトランプ大統領(時事通信フォト)

 ウクライナへの軍事支援の一切を一時停止する──アメリカのトランプ大統領が3月3日に下した決断は、戦争終結に向けた布石なのか、それとも単なる“はらいせ”なのか。前代未聞の公開大げんかは世界を震えさせたが、実は“ショック療法”となって停戦が一気に近づいてきているのだ。

 ロシアがウクライナに攻め込み、戦争が始まってから丸3年が過ぎた。この間、多くの命が失われただけでなく、世界の経済にも大きな打撃を与えた。終わりの見えない戦闘は泥沼の様相を呈していたが、ここにきて、ようやく停戦の機運が高まってきた。きっかけは、ウクライナのゼレンスキー大統領と、アメリカのトランプ大統領の「公開大げんか」だというから摩訶不思議だ。

 2月28日に実施されたゼレンスキー氏とトランプ氏の会談は、ホワイトハウスの大統領執務室内に怒号が飛び交う激しい口論となり、予定されていたウクライナの鉱物資源の共同開発に関する協定への署名が見送られた。

「停戦のためにはロシアに譲歩する必要があると迫るトランプ氏に対し、ゼレンスキー氏は断固としてこれを否定。すると、トランプ氏は“第3次世界大戦を起こしかねない”とし、“あなたにはカードがない”“あなたは簡単に負ける。ウクライナの人たちは死んでいく”と激しく非難したのです。

 トランプ氏はロシアのプーチン大統領と非常にいい関係を築いてきた。一方で、ゼレンスキー氏に対しては“独裁者”と呼ぶほど嫌悪感をあらわにしてきました。プーチン氏との仲を考えると、トランプ氏にとっては“ゼレンスキー氏の排除”が最も望ましい停戦のカードなのです」(全国紙外信部記者)

「地球上で最高のセールスマン」

 ウクライナ戦争によって、西側諸国が軍事・人道・財政支援に投下した累計額は2024年12月までに約42兆円。そのうち約4割がアメリカで、群を抜いている。今年大統領に返り咲いたトランプ氏にとって、ロシア・ウクライナ戦争は、バイデン政権時に発生したものだ。トランプ氏はウクライナへの巨額支援を巡り、かねて否定的な立場をとってきた。

「彼がアメリカに来るたびに、1000億ドル(約15兆円)を手にして帰国する。地球上で最高のセールスマンだ」

 トランプ氏は昨年9月、ゼレンスキー氏をそう揶揄した。

「このままズルズルと戦争が長引けば、支援額も増え、政権の支持率にも影響を与えかねない。トランプ氏にはむしろ、ロシアと協調して戦争を終結させ、ウクライナ領土を“ビジネスの場”にしようとする姿勢が透けて見えます」(在米ジャーナリスト)

 実際、プーチン氏は、2月24日の国営テレビのインタビューで、「ロシアの『新領土』において、レアアース採掘などの共同プロジェクトでアメリカに鉱物資源を供与する用意がある」と明言した。「新領土」とはほかでもなく、ロシアによって占領されているウクライナ東部の土地のことだ。

「トランプ氏は戦争終結によって、一刻も早くロシア、もしくはウクライナとの“ビッグビジネス”を始めたいのです。バイデン政権は同盟国に配慮する路線でしたが、トランプ政権では第1次のときから、多国間の経済枠組を軽視し、2国間での『ディール(取引)』を重視してきた。ゼレンスキー氏が大統領の座から降りさえすれば、このディール最優先の戦略を取れるわけです」(前出・在米ジャーナリスト)

関連記事

トピックス

“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン