前代未聞の公開大げんかをしたゼレンスキー氏とトランプ氏(時事通信フォト)

前代未聞の公開大げんかをしたゼレンスキー氏とトランプ氏(時事通信フォト)

 トランプ氏にとっては、結果的に鉱物資源の利用ができるのだから、その相手がウクライナだろうがロシアだろうが関係ないのだ。ゼレンスキー氏が大統領に就任したのは2019年。すでに任期は2024年で切れている。平時であれば、任期満了によって、選挙が実施されていたはずだった。

「ロシアの本格侵攻を受けて戒厳令が出されたため選挙は行われず、国民もそうした状態を支持していました。ただ、米露の間では、まずは一時休戦を実現させてウクライナで大統領選を実施する案が一方的に検討されています」(別の在米ジャーナリスト)

 米露からは、ゼレンスキー氏の地位正統性に疑問があり、選挙をするべきだという批判の声が出ている。

「ウクライナ国民から圧倒的な支持率を誇るゼレンスキー氏ですが、それゆえロシアに“譲歩”する選択肢がなかった。あくまで、ロシア軍の完全追放とすべての領土の解放を目指しており、その高すぎる目標が停戦の障壁になってきた面もあります。“戦争嫌い”のトランプ氏は、どうしたら最速で戦争終結が実現できるかを考えていたはずで、今回の口論で、むしろゼレンスキー氏に“次の一手”のカードを渡したと言えるでしょう。

 今年に入り、ゼレンスキー氏は“安全保障が担保されれば辞任してもいい”と言い出しています。決裂したと思われた両者の2回目の会談は、予想以上に早く開かれそうです」(前出・別の在米ジャーナリスト)

 アメリカの大手メディアは、トランプ政権はキリストの復活を祝う復活祭にあたる4月20日までに、停戦を実現したいという意向を持っていると報じている。図らずも、カードを持っていなかったゼレンスキー氏が、今回の口論で、「辞任」という停戦の切り札を持ったと言えるのだ。戦争終結のために、ゼレンスキー氏が大統領辞任という“捨て身の一撃”を放ったら、次の大統領は選挙で選ばれることになる。

「アメリカの意を汲む政治家から、ロシア寄りの人物まで立候補して、大統領選は混迷を極め、その間にウクライナの資源などの権益を狙って米・欧・露の関係者が入り乱れることでしょう。それでも、ゼレンスキー氏が国民の支持を得て、再びウクライナのリーダーになることもあり得る。

 問題は、そのときにアメリカとヨーロッパ諸国がウクライナの恒久的な平和のための安全保障に本腰を入れて取り組めるかどうかです」(前出・別の在米ジャーナリスト)

 停戦が実現すれば、「世界の穀物倉庫」であるウクライナの小麦供給も安定する。西側がロシアに科している経済制裁も緩和されるだろう。ロシアからの化石燃料が流通すれば、電気やガスなど、家計の光熱費も下がっていく。

「小麦輸出量世界1位を誇るのは、ほかでもないロシア。すでに、西側諸国の経済制裁への対抗措置で、ロシアは小麦の売り渋りをしている。日本で消費される小麦の8割以上は輸入でまかなわれているため、日本政府は安定的な確保につなげようと、一括して輸入して製粉業者などに売り渡しています。小麦供給も安定すれば、今後大きな価格変動に左右されないでしょう」(経済ジャーナリスト)

 異国で起きている舌戦は、実は家計にまで影響を及ぼすのだ。

女性セブン2025320日号

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