スポーツ

【高校球界に地殻変動】「大阪桐蔭は完成された子が多い。うちは高校野球で伸びしろのある子を育てたい」大阪学院大高の「育成ビジョン」と「恵まれた練習環境」

大阪学院大高の野球部が練習を行なう「総合スポーツフィールド」(産経新聞社)

大阪学院大高の野球部が練習を行なう「総合スポーツフィールド」(産経新聞社)

 近年、プロ野球を目指す有望中学生が進学する学校を選択する上で重視するのは、甲子園への出場のしやすさではなく、自身が最も成長できる練習環境や安心した生活を寮で送れるかという点だ。

 たとえば、昨春のセンバツを制した健大高崎の1年生エースだった佐藤龍月(昨夏にトミー・ジョン手術を受け、今回のセンバツではマウンドに上がることができないものの、代打・代走要員として背番号18でベンチ入り)。彼の場合は大阪桐蔭の熱心な勧誘を断り、練習設備の整った同校へと進学した。

 そして、大阪桐蔭のライバル校・大阪学院大高が将来性にあふれる中学生に選ばれる理由も、充実した練習環境にある。(全3回の第3回。第1回第2回から読む)

170キロの打撃マシンにラプソードも

 2022年に完成した大阪学院大高のグラウンドは外野が全面人工芝で、巨大な室内練習場も併設。センター後方にある建物の2階にはマネージャーたちが補食を作ったり、選手が食事できるスペースがあり、監督室からは練習中のグラウンドを見下ろすことも可能だ。また、辻盛英一監督(48)の就任後には、170キロが出る打撃マシンに弾道測定機器のラプソードも導入された。まるでプロの練習施設のようである。

 寮費も食費込みで6万円と安く、食事が足りない場合はUber Eatsなどを利用しながら成長期にあたる球児のお腹を満たしている。辻盛監督は言う。

「うちは学校が野球部に力を入れると決めてから環境が整ってきました。野球部に力を入れるのは、決して生徒集めが目的ではありません。大阪学院大というのは経営状態が良くて、無借金経営なんです。キャンパスも梅田に近くて、生徒集めにもあまり苦労はしていない。ただひとつ、全国的な知名度がないんです。大阪学院はバスケ部もゴルフ部も強豪校で、大学の卒業生にはマラソンの高橋尚子さんがいます。スポーツに力を入れているのに、いまいち、知名度が上がらない。過去に一度だけ、大阪学院大高は甲子園に出場(1996年のセンバツ)していますが、その時は学校が華やかに盛り上がったそうなんです。そこで、本腰を入れて野球部に力を入れようとなったんです」

 大阪桐蔭がスカウト力を背景に高校野球に一時代を築き、そして大阪学院大高も令和の時代のスカウティング方法で選手を集め、大阪桐蔭に肉薄し、甲子園にもあと一歩のところまできた。今夏もしくは数年のうちに甲子園出場を果たすことができれば、一気に大阪の勢力図が塗り変わる可能性を秘めている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

現地取材でわかった容疑者の素顔とは──(勤務先ホームページ/共同通信)
【伊万里市強盗殺人事件】同僚が証言するダム・ズイ・カン容疑者の素顔「無口でかなり大人しく、勤務態度はマジメ」「勤務外では釣りや家庭菜園の活動も」
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《元人気芸妓とゴールイン》中村七之助、“結婚しない”宣言のルーツに「ケンカで肋骨にヒビ」「1日に何度もキス」全力で愛し合う両親の姿
NEWSポストセブン
週刊ポストの名物企画でもあった「ONK座談会」2003年開催時のスリーショット(撮影/山崎力夫)
《巨人V9の真実》400勝投手・金田正一氏が語っていた「長嶋茂雄のすごいところ」 国鉄から移籍当初は「体の硬さ」に驚くも、トレーニングもケアも「やり始めたら半端じゃない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《まさかの“続投”表明》田久保眞紀市長の実母が語った娘の“正義感”「中国人のペンションに単身乗り込んでいって…」
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【スクープ】大谷翔平「25億円ハワイ別荘」HPから本人が消えた! 今年夏完成予定の工期は大幅な遅れ…今年1月には「真美子さん写真流出騒動」も
NEWSポストセブン
フランクリン・D・ルーズベルト元大統領(写真中央)
【佐藤優氏×片山杜秀氏・知の巨人対談「昭和100年史」】戦後の日米関係を形作った「占領軍による統治」と「安保闘争」を振り返る
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《追突事故から4ヶ月》広末涼子(45)撮影中だった「復帰主演映画」の共演者が困惑「降板か代役か、今も結論が出ていない…」
NEWSポストセブン
江夏豊氏(右)と工藤公康氏のサウスポー師弟対談(撮影/藤岡雅樹)
《サウスポー師弟対談》江夏豊氏×工藤公康氏「坊やと初めて会ったのはいつやった?」「『坊や』と呼ぶのは江夏さんだけですよ」…現役時代のキャンプでは工藤氏が“起床係”を担当
週刊ポスト
殺害された二コーリさん(Facebookより)
《湖の底から15歳少女の遺体発見》両腕両脚が切断、背中には麻薬・武装組織の頭文字“PCC”が刻まれ…身柄を確保された“意外な犯人”【ブラジル・サンパウロ州】
NEWSポストセブン
山本由伸の自宅で強盗未遂事件があったと報じられた(左は共同、右はbackgrid/アフロ)
「31億円豪邸の窓ガラスが破壊され…」山本由伸の自宅で強盗未遂事件、昨年11月には付近で「彼女とツーショット報道」も
NEWSポストセブン
佳子さまも被害にあった「ディープフェイク」問題(時事通信フォト)
《佳子さまも標的にされる“ディープフェイク動画”》各国では対策が強化されるなか、日本国内では直接取り締まる法律がない現状 宮内庁に問う「どう対応するのか」
週刊ポスト
『あんぱん』の「朝田三姉妹」を起用するCMが激増
今田美桜、河合優実、原菜乃華『あんぱん』朝田三姉妹が席巻中 CM界の優等生として活躍する朝ドラヒロインたち
女性セブン