漫才賞レース『THE SECOND』で躍動。 左からぼんちおさむ、里見まさと(c)フジテレビ
品川駅から帰りの新幹線に乗車する直前、まさとはトイレの個室に入った。すると、途端に頬を涙がつたった。
「19歳から芸人やってて、ウケへんことはなんぼでもあった。でも時間をオーバーして10点も減点されるなんてことはなかった。50年以上芸人をやっていて、あんなに落ち込んだことはないですよ。悔しくて悔しくて。(トイレの壁に)足をぶつけたいぐらいやったもん」
もう1つあった。彼らが70歳を過ぎても漫才師として光を発し続けられている理由が。それはこの古めかしくも、しかし熱過ぎる職人魂である。
(前編記事から読む)
【プロフィール】
中村計(なかむら・けい)/1973年、千葉県生まれ。著書に『甲子園が割れた日』『勝ち過ぎた監督』『笑い神 M-1、その純情と狂気』など。スポーツからお笑いまで幅広い取材・執筆を行なう。近著に『落語の人 春風亭一之輔』。
※週刊ポスト2025年5月30日号