芸能
「ザ・ぼんち現象」の秘密

芸歴50年超「ザ・ぼんち」が『THE SECOND』挑戦を決めた理由 「おさむさんが新しく思いついた2つのギャグをどうしても見てもらいたかった」まさとの思い

結成54年目のザ・ぼんち(撮影/杉原照夫)

結成54年目のザ・ぼんち(左からぼんちおさむ、里見まさと/撮影=杉原照夫)

 結成16年以上のコンビのみによる漫才コンテスト『THE SECOND』(フジテレビ系)で決勝に進出したザ・ぼんち。かつて漫才ブームを牽引し一時代を築いた、ぼんちおさむと里見まさとの2人が、結成54年目にして、当時の熱狂を彷彿とさせる漫才で観客を沸かせている。ノンフィクションライターの中村計氏が、ザ・ぼんちの秘密に迫った。(文中敬称略)【前後編の後編】

 * * *
 実はザ・ぼんちは昨年、同大会に初参加し、「ノックアウトステージ32→16」でやはりハンジロウとぶつかり僅差で敗れている。もう出場しないつもりだったそうだが、去年の夏から秋にかけて冒頭の「気をつけ!」というボケと、もう1つの似たような意味不明のボケをおさむがやり始めたことで、まさとの気持ちに再び火がついた。

「おさむさんが新しく思いついた2つのギャグを全国のみなさんにどうしても見てもらいたかった。それだけ。僕も最初は『急に何しとんの?』って思いましたけど、しばらくやらせると、これはおもしろいな、と」

 おさむが新しいギャグを思いついたときのことを思い出す。

「意味なんてないんですよ。僕はうまい漫才を目指してないんで、咄嗟に思いついたことをそのまま口にしただけ。そうしたら、たまたまウケたんです。漫才中はいつも宇宙から何か降りてきへんかな思うてます。地球とうまく交わると降りてくるんですわ」

 摩訶不思議なことを言って笑わせ、こう続けて、また笑わせた。

「ただ、情けないんですけど、歳いってるぶん、大きな声でしゃべらなと思うと、歯と歯のあいだから声が抜けそうになるんで、食いしばってセリフを言ってるんです」

 線路の上を走るまさとと、脱線をひたすら繰り返すおさむ。ザ・ぼんちのネタを簡単に説明すると、そういうことになる。

 ザ・ぼんち伝説のうちの1つにこんなものがある。その昔、おさむが勘違いし、予定とは違うネタを話し始めてしまったことがある。まさとはおさむの間違いを正そうと、やるはずだったネタを振る。しかしおさむは自分のミスに一向に気づかず、2人は最後までまったく別々のネタをしたという。ただ、その漫才も大爆笑で、客はまったく気づいていなかったそうだ。

 2人の漫才はかみ合わなくていい。いや、かみ合わなければかみ合わないほど笑いが生まれる。

 おさむのギャグは偶然だが、彼らが再び時代に迎え入れられたのは偶然ではない。まさとは自信たっぷりに言った。

「45年前、漫才ブームに乗れた人と外れた人がいた。僕らは『THE MANZAI』という絵の中にどうしたら残れるかわかっていたから乗れたんです。同じように『THE SECOND』という絵の中で残るにはどういう漫才をすればいいかわかっていますから。そりゃあ、当然ですよ」

 あふれ出る自負に圧倒されそうになる。おさむもそのときだけは真面目な顔をして、こうとだけ付け加えた。

「漫才は難しいと思わせたらダメですね。楽しいと思わせないと」

関連キーワード

関連記事

トピックス

鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
経済同友会の定例会見でサプリ購入を巡り警察の捜査を受けたことに関し、頭を下げる同会の新浪剛史代表幹事。9月3日(時事通信フォト)
《苦しい弁明》“違法薬物疑惑”のサントリー元会長・新浪剛史氏 臨床心理士が注目した会見での表情と“権威バイアス”
NEWSポストセブン
海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
2才の誕生日を迎えた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
【9月6日で19才に】悠仁さま、40年ぶりの成年式へ 御料牧場、小学校の行事、初海外のブータン、伊勢新宮をご参拝、部活動…歩まれてきた19年を振り返る 
女性セブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
当時の水原とのスタバでの交流について語ったボウヤー
「大谷翔平の名前で日本酒を売りたいんだ、どうかな」26億円を詐取した違法胴元・ボウヤーが明かす、当時の水原一平に迫っていた“大谷マネーへの触手”
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
《同居女性も容疑を認める》清水尋也容疑者(26)Hip-hopに支えられた「私生活」、関係者が語る“仕事と切り離したプライベートの顔”【大麻所持の疑いで逮捕】
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン
賭博の胴元・ボウヤーが暴露本を出版していた
大谷翔平から26億円を掠めた違法胴元・ボウヤーが“暴露本”を出版していた!「日本でも売りたい」“大谷と水原一平の真実”の章に書かれた意外な内容
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレ(時事通信フォト)
《メンバーの夫が顔面骨折の交通事故も》試練乗り越えてロコ・ソラーレがミラノ五輪日本代表決定戦に挑む、わずかなオフに過ごした「充実の夫婦時間」
NEWSポストセブン
サークル活動にも精を出しているという悠仁さま(写真/共同通信社)
悠仁さまの筑波大キャンパスライフ、上級生の間では「顔がかっこいい」と話題に バドミントンサークル内で呼ばれる“あだ名”とは
週刊ポスト
米カリフォルニア州のバーバンク警察は連続“尻嗅ぎ犯”を逮捕した(TikTokより)
《書店で女性のお尻を嗅ぐ動画が拡散》“連続尻嗅ぎ犯” クラウダー容疑者の卑劣な犯行【日本でも社会問題“触らない痴漢”】
NEWSポストセブン