フランス凱旋門賞も経験、34年間の騎乗で夏のレースも冬レースも知りつくす蛯名正義氏
2001年の高松宮記念を勝ったトロットスターに僕が騎乗して初めて勝ったのは前年12月のCBC賞。以前乗って勝たせてもらったブラックホークなどの強豪を相手に強い勝ち方をしたこともあって、中野栄治調教師に「来年の高松宮記念を目指しましょう。勝てますよ!」と言い切ることができました。デビューして14年目のことでした。
さて、今週末は春競馬のクライマックス、ダービーです。翌週からは来年のダービーを目指して2歳新馬戦が始まり、競馬界が一つの大きな区切りを迎えます。僕はこの夢舞台に25回も騎乗させてもらいながら、ついに勝つことはできませんでしたし、蛯名厩舎からはまだ1頭も出走したことがありませんが、それでも目標の一つは「ダービーを勝つこと」です。
開業前からこのコラムを始めて、手探りでの開業準備や初出走、初勝利、初重賞勝利、初GI出走と、常にこの場でお伝えできたことは、とても励みになりました。これからも一頭一頭とていねいに向き合って、皆さんの記憶に残る馬をつくっていきたいと考えています。馬も人も幸せになれるよう、頑張っていきます!
【プロフィール】
蛯名正義(えびな・まさよし)/1987年の騎手デビューから34年間でJRA重賞はGI26勝を含む129勝、通算2541勝。エルコンドルパサーとナカヤマフェスタでフランス凱旋門賞2着など海外でも活躍、2010年にはアパパネで牝馬三冠も達成した。2021年2月で騎手を引退、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした。この連載をベースにした小学館新書『調教師になったトップ・ジョッキー 2500勝騎手がたどりついた「競馬の真実」』が発売中。
※週刊ポスト2025年6月6・13日号