ネコは刑務所を取り囲む有刺鉄線上で身動きが取れなくなっていたところを保護された(Ministerio de Justicia y Paz/Facebook)
コスタリカは、国際麻薬犯罪組織が南米産の麻薬を北米や欧州に運搬する際の中継地点にされており、「麻薬の倉庫」とも呼ばれている。同国外務省によると、コスタリカはこれらの麻薬の一大消費地でもあり、2023年のコカイン押収量は計約13トンで、年々増加の一途をたどっているという。
犯罪組織の麻薬運搬方法は巧妙化しており、動物を利用したケースが確認されたのはこれが初めてではない。今回のコスタリカのケースで保護されたネコは、国のアニマル・ヘルス・サービスに引き取られて無事だったが、麻薬の運び屋にされた動物が命を落とした悲惨な例もある。
2019年2月、米ニューヨーク州東部地区連邦裁判所は、子犬を使って米国へのヘロイン密輸を企てたとして、スペイン国籍の男に懲役6年を言い渡した。
「この男は、南米・コロンビアの獣医学部で学生をしていた2004~2005年頃、同国の農場で子犬の腹部に液体状のヘロインが入ったビニールパックを埋め込みました。男はコロンビアの麻薬密売組織に協力し、生きた子犬の腹にヘロインをしのばせて米国に密輸しようとしたのです。
獣医としての訓練を受けていたからこそ、生きた状態の子犬の腹の中にヘロインを埋め込めたわけで、巧妙かつ残忍な手口です」(同前)
2005年1月にコロンビア警察が男の農場に踏み込み、密輸計画は未然に阻止された。このときに、農場で9匹の子犬が見つかり、合計で10袋の液体状ヘロインが子犬の腹部から摘出されている。この後、3匹がウイルス感染症で死亡したという。