「日本ろう者サッカー協会」が、デフサッカー男子日本代表チームの合宿を延期することを発表(公式サイトより)
デフバスケットボールでもパワハラトラブル
通常のサッカーとは戦術に大きな違いがあるデフサッカー。専門性を高めるためには、デフの経験を持つ指導者が必要だという声もある。
「実際、デフサッカーを知り尽くした指導者は植松前監督以外にいないのが実情。ですが、協会の都合で監督との契約を終了し、別の人を任命した結果、今回のボイコット騒動となってしまった。選手が練習に打ち込める環境ができなければ、デフリンピックでの金メダルなど夢物語になってしまいます」(前出・別の関係者)
日本ろう者サッカー協会に尋ねた。
(合宿延期の理由となった吉田監督の選手対応については)
《現在も調査を継続中であり、現時点でのご質問への回答は控えさせていただきます。》
(植松前監督の意見書提出と退任の経緯、および選手からの意見書提出については)
《当時、協会として真摯に受け止め、内容を精査したうえで対話の機会を設け、最終的には双方合意のもとでの退任となりました。》
(佐賀県嬉野市での合宿に主力選手が参加しなかったことについては)
《合宿地である嬉野市の関係者の皆さまにご心配・ご迷惑をおかけしたことは真摯に反省し、改善に努めてまいります。》
(選手が講演会などに登壇した際、協会を通すと謝礼が支払われない慣例については)
《そのような取り決めや運用はございません。選手への謝金や交通費については協会の規程に基づき適切に支払っており、講演等の対応も本人と確認のうえ行っています。》
デフスポーツをめぐっては、デフバスケットボール男子日本代表の選手が、元監督からのパワハラ被害を訴えた問題が5月16日に毎日新聞で報じられた。過去に代表監督を務めた人物からの高圧的、威圧的な指導によって精神的に苦痛を抱えながら代表活動を強いられ、2014~2021年度に7人の選手が代表を辞退するなどした。この人物が暫定で監督を務めた5月の合宿でも、選手15人のうち9人が指導を受けることをボイコットしたという。
無音の中で純粋に競技に打ち込みたい選手たちは、周囲が奏でる不協和音に苦しんでいる。