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【追悼・長嶋茂雄さん】復帰時期をめぐって生じた一茂と三奈の亀裂 兄妹関係を修復に導いたのは“病魔に負けない”との思いでリハビリに励んだ父の姿

6月2日、肺炎のため都内の病院で亡くなった長嶋茂雄さん(写真/共同通信社)

6月2日、肺炎のため都内の病院で亡くなった長嶋茂雄さん(写真/共同通信社)

「ミスタープロ野球」として、日本国民から広く愛されてきた長嶋茂雄さんが6月2日、肺炎のため都内の病院で亡くなった。89才だった。誰からも愛された長嶋茂雄さんの晩年は、病とともに、家族の苦悩を抱える期間でもあった。【前後編の後編】

 涙雨となった長嶋さんの死去当日、東京・田園調布にある自宅には30人以上の報道陣が集まり、交通整理のため警察が出動する事態になった。午後1時20分頃、棺が運び込まれる際には、長嶋さんの長男・一茂(59才)と次女・三奈(57才)が揃って手を合わせていた。

「両陛下に失礼だ」

 長嶋さんの影響を色濃く受けたのが、一茂と三奈だった。

 父と同じように立教大学からプロ野球選手になった一茂は、ヤクルト、巨人でプレー。現役生活を終えると、引退後はタレントに転身。三奈はテレビ朝日に入社しスポーツキャスターとして活動した。

 だが、2004年に大きな転機が訪れた。長嶋さんが脳梗塞で倒れたのだ。亜季子夫人ときょうだい4人が24時間体制で病院に詰め、重篤な状態とされた長嶋さんは一命を取り留めたものの右半身にまひが残り、言葉も出にくくなった。当初は首から下が一切動かせなくなる可能性があるほどの深刻さだったという。

 それでも入院2週目には介助を受けながらベッドの周りを歩きだすと、退院後は壮絶なリハビリを始める。最新の設備が整う施設に週3回通い、速度や傾斜が細かく変化するよう設定されたランニングマシン、ペダルこぎ、ショルダープレス、レッグプレスなどが組み込まれた専用メニューを約1時間こなした。一般的な成人男性でも疲れる運動量を、当時68才の長嶋さんは休憩をほとんど取らずに続けたという。

「これはリハビリじゃない。筋トレだ」

 本人はそう語っていたという。

「その後もリハビリは続け、2013年に天皇皇后両陛下(現・上皇ご夫妻)が主催した秋の園遊会に出席する際には、有名なリハビリセンターに極秘に通い、周囲が息をのむほどのすさまじい気迫でリハビリに励んだそうです。両陛下の前ではもちろん、国民にも衰えた姿を見せたくないという、スーパースターなりの矜持でした。

 驚異的な回復を見せたものの、まひのため筋力が落ちた右腕だけは背広のポケットに入れておかなければならず、“両陛下に失礼だ”という批判が起きてしまったことには、とても悲しそうにしていました」(長嶋家の知人)

 2004年に倒れて以降、長嶋さんは園遊会だけでなく2021年の東京五輪などさまざまな国民的行事に出席してきた。大っぴらにはしなかったが、そのための陰の努力はすさまじく、孤独に耐えながらリハビリを続けてきたのだ。

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