「子役」から大人の「俳優」になる過程で求められることが変わることを実感
時間と、精神的な成長によるアイデンティティの形成でしか解決しないと思います。ここが子役の難しいところですよね。子供が成長していく中で、演技がその子の心にどんな影響を与えるのか、周りの大人はすごく気を遣う部分だと思います。現場では元気な“子供らしさ”を期待される場面もあれば、いざ本番となればプロとしての集中力や表現力が求められる。その両立は、子供心に『どうしたらいいんだろう?』と戸惑う瞬間もあったように感じます。
──子役の後、俳優の道に進まない人も多いですか。
多いですね。子供時代の「子役」から大人の「俳優」になる過程で求められることが変わってくるし、その移行期間はお仕事の量もあまり多くないんです。
──求められることが“変わる”とは?
学生が社会に出る時と似ているのかなと思うんです。学生時代って、いい成績を取ることが一種の正解。でも就職活動では、急にあなたがやってきたことは何か、何が得意かなど“個性”が問われてくる。
子役として、大人の理想に精一杯応えるのは「正しい」ことです。でも、その後1人の俳優としては「個性」が求められるようになります。言われたことをやる、という姿勢では立ち行かなくなる。