白鵬杯には多数の協賛企業が名を連ねていたが…(時事通信フォト)
「寝耳に水です」
今年2月の白鵬杯では、スポンサーの筆頭格にあたる特別協賛をSANKYOが担い、協力協賛企業としてトヨタ自動車など35社が名を連ねた。そこで会見翌日にSANKYOに取材を申し込むと、担当者から意外な答えが返ってきた。
「相談とかは全くなくて、会見報道を見て(構想を)知った。だから、何のお答えもできない状況です。いつもは直前とはいえ事前に連絡をいただいて協力させてもらっています。ただ、今回は全く……。
昨日の会見も(新会社の)関係者という方々が紹介されたが、寝耳に水で、どなたも存じ上げません。今後、連絡をいただいたら検討はすると思いますが、今はわからない。(毒島秀行会長が)個人的に対応することはなく、企業としてになりますが、何をやろうとしているかの説明がないレベルで協力する、しないをお答えはできません」
そして最後に、「びっくりしましたよ。会見があることも知りませんでした」と口にした。
他の協賛企業では、「すしざんまい」を展開する喜代村も「事前に相談とか連絡はないです。その時々に相談があれば、お聞きして検討していくということではないか」(広報担当者)との反応。大塚ホールディングスの子会社で、白鵬夫人の地元・徳島に本社のある大塚製薬工場は「本件につきましては、個別のやり取りや対応の有無を含め、ご回答を差し控えさせていただいております」(広報担当)との回答だった。豊田会長との関係性が強調された一方、白鵬杯の巨大スポンサーへ根回しが見受けられないのだ。
「これまで白鵬杯に協賛してきた企業としても、現役横綱や親方という立場だから支援した面が当然あるでしょう。豊田会長としても、会社や個人というよりは、日本相撲連盟会長になって、その立場で支援、協力していこうということでは」(前出・相撲ジャーナリスト)
急ごしらえな印象を与えた会見での説明についても、「壮大すぎる夢を語る一方で、具体性は感じられなかった」(ベテラン記者)との声が出ている。
「白鵬杯を発展させるといっても、アマの相撲連盟がすでに世界選手権をやっている。それと何が違うかの説明もない。会見ではこれまでのスポンサー企業さえ知らない人が壇上に立っていたわけだが、元横綱の新ビジネスとなればいろんな人が寄ってくる。企業側もリスクを考える必要があるし、これまでのスポンサーの離反も起こり得る。少なくとも、支援するかは新会社が軌道に乗るかを見定めてからの話でしょう」(同前)
退職後に進む道は“電車道”とはいかなそうだ。
※週刊ポスト2025年6月27日・7月4日号