月9ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』主演の中井貴一と小泉今日子
小泉今日子、中井貴一主演で話題を呼ぶ“月9ドラマ”『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)。23日放送の最終話では、どんな着地点に注目すればいいのか? そしてさらなる続編の可能性は? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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23日夜、『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)の最終話が放送されます。
同作はネット上の記事やコメントの数、TVerの配信再生数やお気に入り登録数なども含め、今春最大の話題作だったことは間違いないでしょう。実際、16日の第10話放送後から23日にかけてネット上には「最終回が来てほしくない」などと早くもロスを嘆く声があがっていました。
そもそもドラマのシリーズ作は「第1弾が最も面白くて右肩下がりになっていく」と言われがちな中、なぜ『最後から二番目の恋』は3作目の“続・続編”でも支持を保ち続けられるのか。さらに最終話はどんな着地点に注目して見ればいいのかなどを掘り下げていきます。
視聴者と同じ年月を重ねる俳優たち
なぜ『続・続・最後から二番目の恋』はひさびさの続・続編でも支持を保ち続けられるのか。その最大の理由は、視聴者に登場人物たちが愛されていることでしょう。
今回の続・続編でも、主人公の吉野千明(小泉今日子)と長倉和平(中井貴一)だけでなく、和平の家族である妹・水谷典子(飯島直子)、双子の妹・長倉万理子(内田有紀)と弟・長倉真平(坂口憲二)、娘・長倉えりな(白本彩奈)、和平の部下から真平の妻になった長倉知美(佐津川愛美)。さらに千明の親友である荒木啓子(森口博子)と水野祥子(渡辺真起子)、千明の部下である三井道子(久保田磨希)らも単なる脇役ではなく、自分の人生における主人公のようにスポットが当てられています。
ドラマの中で彼らの社会と日常が丁寧に描かれ、視聴者はそれを見守る楽しさがあるため、複数のキャラクターに思い入れが持てること。ほとんどのキャストが続投し、しかもほぼ実年齢の役を演じ続けていること。彼らの充実した日々だけでなく、シビアな現実も描いていることで、他のドラマとは一線を画す愛着が芽生えている様子がうかがえます。
さらに続・続編は、2012年の第1弾、2014年の第2弾に続くシリーズ第3弾ですが、11年ぶりの放送だったことで、登場人物たちにいい意味での余白が生まれました。その11年間は放送されていなくても登場人物と俳優たちには視聴者と同じ年月が流れていて、「どんなことがあったんだろう」と想像をふくらませられることが続・続編の面白さにつながっています。実際、続・続編では「11年前とは変わったな」と思わせる関係性や言動が散りばめられていて、“変わっていくことと変わらないもの”がバランスよく描かれてきました。
また、その11年間は結果的に視聴者にとって「やっぱりこの人たちはいいな」、演じる俳優たちにとって「やっぱりこの役は演じ続けていきたい」と感じさせる熟成期間になったのかもしれません。