れいわの票も食った!?

 ただ、単なる「極右勢力の台頭」と言い切れないところに、“参政党現象”の本質があるとする見方もある。

 神谷代表を10年以上前から知り、参政党支持者への聞き取りもしてきたという保守論客の文筆家・古谷経衡氏の指摘は興味深い。

「参政党の支持層には、ゴリゴリの保守系の人というのはほとんどおらず、どちらかというとオーガニックとかスピリチュアルが好きな人が多い印象です。“無党派層”が流れたという言い方もされますが、私は違うと思う。参政党の支持層のほとんどは右と左の違いもよく分からず、政治についての知識もない人が多い。“無党派層”というより、“無関心層”なんです。そういう人たちがYouTubeなどで参政党が掲げる分かりやすい主張を見て、それに惹かれている。“神谷さんの動画を見て初めて選挙に行った”と話す人もいました」

 さらに古谷氏は、参政党が議席を獲得した練馬区と世田谷区に着目する。

「この2選挙区は、れいわ新選組と候補者が重複していましたが、参政党の候補が当選し、れいわの候補がいずれも落選した。2つの党は国家観や原発問題をめぐる主張は正反対と言っていいが、積極財政や消費税廃止を掲げているところが重なる。私は今回の都議選での参政党の躍進は、分かりやすくて極端な主張に惹かれるれいわ支持の票を食った現象でもあると見ています」

 古谷氏は「“無関心層”は支持政党をコロコロ変える」とも指摘して拡大には限界があるとの見方を取ったが、れいわ新選組が昨年の衆院選で9議席を獲得したことは記憶に新しい。その意味では直近の参院選で“旋風”を巻き起こす可能性は十分にありそうだ。

 自民党を支持していた右派票を食ったとする見方と、左派政党の票を食ったという正反対の評価がある参政党は、どこへ向かおうとしているのか。

 神谷代表は今後の展望について、「参政党は全国に287の支部をつくっていて、党員の皆さんが自発的に地方での活動を積み上げられる仕組みにしている。さらに認知度が上がり良い候補者が手を上げてくれるようになれば、党勢は拡大していけると考えている」とも回答している。

 日本の政治は自公政権が衆院で過半数を失い、参院選でも過半数を失えば連立組み替えが必要になる。政治が不安定化し、欧州のように選挙のたびに連立が変わる時代に入る可能性があるのだ。

 そうなった時、参政党が国会で一定の勢力を持てば、連立参加で政治の主導権を握ることすらあり得るシナリオだ。

※週刊ポスト2025年7月11日号

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