通算勝利数は日本競馬史上10位で現役最多という名伯楽・国枝栄調教師
外国の競馬の場合、ゲートの入りや出に対してはそれほど厳しくない。アメリカや香港で行なわれている競馬では、ゲート内にあらかじめ人が跨っていて馬をなだめるゲートボーイ(ゲートクルー)というのがいる。馬というのは自分より高い目線から眺められると安心して従順になる動物。それでスムーズに枠入りすることができるのだが、日本では導入には否定的だ。
私はむしろ、JRAのレースにおける能力差が大きすぎることが問題だと思っている。出遅れやアクシデント、道中の不利があったわけでもないのに、2度3度走っても大きく差をつけられる馬が、ゲート試験さえ合格していれば出走できるということでいいのだろうか。
もちろん9着以下が3回続いたり、1着馬から3~5秒以上かかったりした場合に、一定期間出走できないという規定があるが、その期間を過ぎればまた出走できる。ただしそうやってレースに復帰しても、勝ち負けになる可能性は少ないのだ。
【プロフィール】
国枝栄(くにえだ・さかえ)/1955年岐阜県生まれ。東京農工大学農学部獣医学科卒業後の1978年から美浦・山崎彰義厩舎で調教助手。1989年に調教師免許を取得して1990年に開業、以後優秀調教師賞7回、優秀厩舎賞7回。主な管理馬はほかにブラックホーク、マツリダゴッホ、サークルオブライフ、ステレンボッシュなど。
※週刊ポスト2025年7月11日号