「●」について語った渡邊渚アナ
「自分を取り戻す作業」
しかし、終わってみると、今回は意外にもメンタルが落ちなかった。悪い想定ばかりしていたから、拍子抜けした。うつっぽくならず、身体的な症状もなく、むしろ身体が軽くなった感覚があった。一つの目標を達成して清々しい気分。これが本来感じる達成感なのだろうと悟った。また、以前は極端な気分のハイとローを繰り返していたが、その気分の波の幅が小さくなってきたことに気がついた。
2年前、精神科にかかり始めたばかりの頃、「この病気は一気に治ることはないけれど、確実に少しずつ良くなっていくから」と医師に言われたことを思い出した。当時の私は「全然良くなっている実感がないし、健康な未来を想像できない」と心の中で思っていたが、“確実に少しずつ”というのが本当だったことを、ようやく理解した。
今の私は、ちょっとずつ、自分を取り戻す作業を進めている状態だ。やっと、次の契約がなくても、生きる意味がわからなくても、生きることを選択できるようになってきた。
何の恐怖に蝕まれることなく、自分の生きたい人生を自然に歩むことができる。それが私にとっての健康であり、新しい契約だ。
【プロフィール】
渡邊渚(わたなべ・なぎさ)/1997年生まれ、新潟県出身。2020年に慶大卒業後、フジテレビ入社。『めざましテレビ』『もしもツアーズ』など人気番組を担当するも、2023年に体調不良で休業。2024年8月末で同局を退社した。今後はフリーで活動していく。1月29日に初のフォトエッセイ『透明を満たす』を発売。6月には写真集『水平線』(集英社刊)も発売。渡邊渚アナの連載エッセイ「ひたむきに咲く」は「NEWSポストセブン」より配信していきます。