技能実習生のダム・ズイ・カン容疑者と亡くなった椋本舞子さん(共同通信/景徳鎮陶瓷大学ホームページより)
古くから伊万里湾における漁業を中心に発展し、江戸時代に生まれた陶芸品「伊万里焼」の名産地として知られる佐賀県伊万里市。文化的で自然豊かなこの街の一角で白昼堂々、凄惨な殺人事件が起きた。
現場となったのは、同市内の閑静な住宅街。26日16時半ごろ、この地区に住む女性から「近所の人が家に駆け込んできた。『刺された』と言っている」と警察に通報があった。九州地区担当の大手紙社会部記者が話す。
「16時20分ごろ、日本語講師の椋本舞子さん(40)と70代の母親が家にいたところ、20代の外国人風の男性が突然インターホンを鳴らした。男は当時マスク姿で、黒の半袖シャツに茶色っぽいズボンを着ていました。
椋本さんの母親が玄関を開けたところ、男は玄関で『オカネ』『財布ミセロ』など片言の日本語で金品を要求。現金1万1000円を脅し取り、その後自宅内に侵入して手に持っていたナイフで椋本さんと母親を続けざまに切りつけ逃げたということです」
のちに被疑者として、椋本さん宅から50メートルほど離れた寮に住む技能実習生、ダム・ズイ・カン容疑者(24)が浮上。佐賀県警は男を27日に任意同行し、同日深夜に逮捕した。
「椋本さんの母親は切りつけられた後、追いかけてくるカン容疑者から逃れるため隣家へ助けを求めた。この母親は怪我で済みましたが、家に残っていた椋本さんは男に凶器で執拗に襲われ死亡しました。
捜査関係者によれば家には荒らされた形跡があったようですが、いわゆる闇バイトやトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)による犯行ではなく単独犯だとみているとのことです。亡くなった椋本さんと男に面識はなく、県警は動機の解明を進めている」(同前)