福岡に本社があるホームセンター「グッデイ」の爆買い編のCMに家族5人で出演
「いえ、病院では融通をきかせてくれたし、楽しく働いていました(笑)。子どもを保育園にあずけながら看護師になるための学校に通っていたので、ウチから近くて残業のない精神科を自分から希望したんです。でも、3人目の子(次女)がとにかくママっ子で、抱っこでも何でも私じゃないとダメ。保育園にあずけても、病院に何度も電話がかかってきて呼び出されるので、いったん辞めることにしたんです」
ところが仕事を辞めたとたん次女は落ち着き、両親や義理の両親の応援もあって、たばささんは再び働き始めることを決意した。そんなとき、夫が勧めたのが脱毛サロンだった。
たばささんも興味をもち3級脱毛技能士の資格を取得すると、3年前の12月、大牟田駅から車で10分の大通り沿いに脱毛サロン「Hatoro」をオープン。30平米以上はありそうなスペースにベッド1台を置く、ゆったりしたサロンだ。
「男性の施術を希望されるお客さんがいらっしゃったら、男性の施術者にヘルプで入ってもらっていますが、基本的に1人で運営しています。2階建ての家の1階を借りて、リフォームして1部屋を脱毛サロンに。ほかのひと部屋をネイルサロンとして貸しています。
9時から24時までサロンを開けていることと、利用しやすい料金設定が功を奏してか、経営は順調です。多い日は1日8~9人、平均すると3~4人のお客さんが来てくれます。人見知りには無理、と母親には言われたけど、仕事となると大丈夫みたいで、いろんな人に会ってお話しながら施術ができて楽しいです。人によって効果の出方がまちまちなので、それを理解していただくのが難しいところかな」
経営者として大変なことは多いだろうが、「初期投資として“バイマッハプロ”の脱毛器具を購入するのに500万円近くかかった」と苦労話をしながらも、どこか楽しそうだ。また、昨年、「Hatoro」の近くに4LDKのマイホームを建て、仕事にも熱が入る。
「脱毛ってずっと通ってもらうものではなくて、お客さんは1~2年で卒業していきます。だから店を長く続けていくには、脱毛に加え、何か別のサービスも提供できるようにならないと、と考えています。主人は『チェーン展開できるくらいがんばれば?』と言っていますが、手を広げる気は今のところないですね」
“お仏壇のはせがわ”のCM当時のかわいい面影を残し、ニコニコと笑顔で取材に応えたたばささん。家族仲良く暮らしながら、欲張らず地道にキャリアを積んでいる姿は、「おててのシワとシワを合わせて……しあわせ」のようだった。
取材/文/撮影 中野裕子(ジャーナリスト)