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広陵高校野球部への告発

【広陵野球部・被害生徒の父親が告発】「その言葉に耐えられず自主退学を決めました」中井監督から投げかけられた“最もショックな言葉” 高校側は「事実であるとは把握しておりません」と回答

広陵野球部・中井哲之監督

広陵野球部・中井哲之監督

 夏の甲子園で史上初となる不祥事による大会期間中の出場辞退となった広陵高校。硬式野球部員の暴力問題にネット上で批判が集まったためと報じられているが、本当にそれだけなのか。メディアで初となる今回の被害生徒の父親への取材、そして関係者への取材を重ねると、背後にはさらに根深い問題が横たわる疑いが濃くなってきた。ノンフィクションライター・柳川悠二氏と本誌・週刊ポスト取材班が問題を追った。【前後編の前編】

「対外試合がなくなってもいいんか」

 春3度の甲子園制覇を誇る広島の名門私立・広陵高校の堀正和校長は、8月10日に甲子園球場を訪れて日本高等学校野球連盟(日本高野連)に出場辞退を申し入れた。

 その後の会見で堀校長は、部員の暴力問題などがネット上で取り上げられていることについて、「事態を重く受け止める」「速やかに指導体制の抜本的な見直しを図る」などと述べた。一方、中井哲之監督やその長男である中井惇一部長による部員への暴力・暴言があったとするネット上の情報については、「そういったことは一切ございません」と否定した。

 本当だろうか──。高校野球関係者を通じてコンタクトを取った今回の暴力問題の被害生徒・A君の父親は、メディアに対して初めて口を開き、こう話した。

「息子は集団暴行を受け、別の学校に編入することになりました。暴行事件の事実を加害生徒や学校、広島県高野連も認めてくれたことで、編入直後から試合に出場することも可能となっています。

 私たちが収まらないのは、中井監督や広陵高校の対応に対する怒りです。中井監督や堀校長に謝罪会見の実施と再発防止策を求めたい」

 広陵OBである中井監督は、同校コーチを経て、1990年に27歳で監督に就任。翌年には春の選抜で優勝を果たし、以来、甲子園通算41勝をあげた。その中井監督に対する怒りの理由を報じる上で、まずは今回の問題の経過を整理しておく。

 問題が世間に知られたのは、夏の甲子園開幕直前の7月末、被害生徒・A君の母親がSNSに野球部での集団暴行の詳細を綴り、6月には広島県警に被害届を提出したことを公にしたためだ。

 A君が複数の先輩部員から暴行を受けたのは、遡って1月のこと。1月末に学校側からA君の両親に渡された報告書などをもとに経緯を辿ろう。

 発端はA君ともう一人の1年生部員が寮の部屋で禁止されているカップラーメンを口にしたことだった。翌日、A君は複数の先輩部員から殴る・蹴るの暴行を受け、さらにその翌日には先輩部員から「反省してるなら便器なめろ。○△(部員名)のチンコなめろ」と命令されるなどした(A君は「靴箱舐めます」と拒否)。そして先輩部員から集団暴行を受け、翌日未明にA君は寮を脱走した。

 その後は両親が中井部長らとやり取りして事実確認が始まり、加害生徒との距離を取るなどの約束が提示されてA君は帰寮するも、2月に退寮。3月末には転校している。

 A君の父親は中井監督について、「息子に対して放った暴言・パワハラはとても許すことはできません」と語ったが、これはA君が一度、帰寮した際のことだとされる。

 5月にA君の両親は帰寮時の対応不備について、学校側に質問文書を送っている。そこでは、A君が帰寮後、中井監督と面談したとの記述がある。コーチ3人も見守るなかでのやり取りについて、両親の側はこう記した。

監督「高野連に報告した方がいいと思うか?」
A君「はい」
監督「2年生の対外試合なくなってもいいんか?」
A君「ダメだと思います」
監督「じゃあどうすんじゃ」
A君「出さない方がいいと思います」
監督「他人事みたいに…じゃあなんて言うんじゃ。出されては困りますやろ」

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