次期政権入閣リストに名前が挙がる茂木敏充氏(時事通信フォト)
旧安倍派主導では国政の混乱も
角谷氏は旧安倍派幹部にはそうした準備がないと、こう続ける。
「石破首相は、政局勘はないものの少数政権の運営をわかっている。国会答弁でも安倍政権のように野党の質問を頭から突っぱねるのではなく、正面から受け止めて自分の言葉で答弁してきた。だから予算や法案を成立させることができた。それが本来の国会審議のあり方だと考えているから、選挙に負けてもやってこられた。
現在も石破首相は政権維持のために立憲民主党との政策協議の枠組みを探っているし、後見人の菅義偉・元首相は水面下で日本維新の会との連立や閣外協力などの協議を進めている。少数政権にはそうした野党と話し合う枠組みが欠かせない」
しかし、旧安倍派の幹部たちは自公政権が安定多数の議席を持っていた時代の楽な政権運営しか知らないと言う。
「石破をおろして自分たちが政権中枢にいればあの頃のように自民党主導で政権運営できると考えているなら幻想ですが、旧安倍派の幹部たちからは、次の政権をどうやって安定させるかの戦略が見えてこない。石破首相は、少数政権の運営の難しさも理解せずに権力を握るためだけに石破おろしを仕掛ける連中に政治を任せれば、トランプ関税交渉など外交的にも難しい時期に国政の混乱を招くと危機感を強めている。それも首相が旧安倍派に徹底抗戦する理由です」(角谷氏)
もはや国民の信を失った石破政権が続投するのか、それとも総裁リコールが成功して旧安倍派の裏金幹部主導の新政権が誕生するのか。
いずれにしても、この期に及んでコップのなかの権力闘争しかできないリコール攻防なのであれば、その先には自民党の終焉が待ち受けているはずだ。
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※週刊ポスト8月29日・9月25日号