クマ外傷医療を長年続けてきた中永氏(中永氏提供)
実際にこの防御体制をとって耐えた人の症例があるという。クマに横から殴られて腕を骨折したが、顔と首は守り、命に別状はなかった。怪我は避けられないものの、致命傷を負わないことを優先すべきだ。
ところで、北海道でヒグマに遭遇したときはどうすればいいのか。
「難しいですね……クマの撃退スプレーなどを携帯して身を守るしかないですが、どれほど効果があるかはわかりません。東北でも同じですが、林業などの方は仕方がないとして、山菜採りや栗拾い、登山など趣味的な理由で、むやみに山に入らないこと。クマとの遭遇を避けることが第一です」
日本全国でクマによる被害が増えているが、クマを駆除すると、「山に帰せばいいのに、なぜ殺処分した」「駆除をやめろ」などと自治体に抗議の電話をかけてくる人々が多数いる。こうした意見について、中永教授はどう考えるか。