初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
通帳は金庫で保管、部屋にはカメラで監視
検察官は冒頭陳述によって、立証を予定している事実を詳細に述べていった。
なおあらかじめ付言するが、この後に行われた検察官の証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し「不同意」としている。被告側が同意しなければ裁判所は証拠として採用できないため、書類を作成した人や供述をした人の証人尋問をして正確性を争うことになる。すなわち、以下で報じるのは、あくまで今後、検察官が立証を目指す内容である。
被告人は高校を卒業した後、職業を転々とし、事件当時はキャバクラ店の従業員だった。前科はないものの、今回と同じAさんに対する行為での前歴が1件ある。
令和3年、当時高校生であったAさんと出会い、令和5年に交際を開始し、その後に半同棲生活に。被告人は、Aさんが他の女性に関心が向かないよう、スマートフォンの使用を禁止した。また、痛がっていて耐えるのを見るのが好きだという思いも抱いており、包丁で顔を切りつけるなどして、その様子を被告人のスマートフォンで撮影していたという。
交際から約半年後、Aさんがスマートフォンを操作していることを知り激昂した。現金を要求し、その話し合いの最中に被告人は包丁を持ち出し、これが前述の前歴となった。
そして破局と復縁を繰り返した後、昨年7月に同居を開始した。しかしその際、被告人はAさんの通帳などを金庫に入れて保管。部屋にはカメラを設置し、被告人の不在時はAさんに対してその画角に入っているよう指示した。
さらに、Aさんやその親に対して、互いに悪口を言わせて関係性を悪化させた。また被告人はAさんに対して「(被告人と別れたら)のたれ死にやな」、「(Aさんは)誰にも好かれていない」などと言い、心理的に支配していったという。
2人の関係性だけでも、異常性が際立つ。3件の事件について検察官が立証予定の事実を適示するにつれ、その異常性はさらに際立っていくのだ──(後編につづく)
取材・文/普通(ライター)