現状維持か、空中分解か
自民党保守派のベテラン議員はこんな言い方をする。
「自民党は保守から中道、リベラルまで考え方の違う議員がいる幅広い政党だ。国民の様々な考え方を反映できるから国民政党と呼ばれてきた。党内の保守派とリベラル派が“疑似政権交代”を繰り返すことで、新たな政権が生まれるたびに政権浮揚効果をもたらしてきた。
しかし、高市氏が総裁になれば保守純化路線を取りかねない。自民党内の中道派議員や連立相手の公明党を切り捨てても構わないと、参政党や日本保守党、維新や国民民主などの保守系議員を取り込む保守大再編を目指す可能性がある。
高市氏は総裁候補なのに党内に仲間がほぼいないからです。その高市氏が総裁になったからと強引に保守純化路線を進めようとすれば、自民党は再生どころか空中分解してしまう」
保守からリベラルまでを幅広く内包する鵺のような党として長く政権の座にあった自民党が賞味期限切れを迎えようとしているのは、左右の新興勢力が台頭する近年の選挙結果からも明らかだろう。その反動で純化路線の高市氏をめぐり党内抗争が起きている構図だ。
現状維持か、空中分解か。今回の総裁選がどのような結果でも、自民党再生の道がまだまだ遠いことに変わりはない。
(第1回から読む)
※週刊ポスト2025年10月3日号