1敗の大の里のほうが手にした額は多い
まさに異常事態とも言える一極集中だ。初日の結びとなった大の里対安青錦の一番には53本の懸賞旗が土俵を回った。結び前の豊昇龍-玉鷲戦は26本。2日目の結びの一番の豊昇龍-高安戦が48本に対して結び前の大の里-玉鷲は32本だったが、3日目の結びの大の里-阿炎は50本(豊昇龍-伯桜鵬は24本)もついた。
4日目以降、中日までに大の里の取組にかかった懸賞の総本数は347本。これに対して同じ期間の豊昇龍の一番の総本数は242本と東西の横綱で中日までに100本以上の差がついている。
大の里は4日目に伯桜鵬に敗れたことでその一番の33本の懸賞は手にできなかった。それでも8連勝の豊昇龍の242本に対し、7勝1敗の大の里が314本と大きく上回る。別の協会関係者が言う。
「懸賞金は1本7万円。相撲協会が手数料(取組表掲載料、場内放送料)として1万円を差し引いて、残り6万円を勝った力士が獲得する。従来は手取りが3万円で、残りの3万円は税金や引退後の必要経費のために給料とは別口座に積み立てられていた。今年の5月場所からセキュリティ面などを考慮して力士が取組後に現金で受け取る懸賞金が3万円から1万円に変更され、残りは振り込まれるようになった。
つまり、大の里が中日までに受け取った現金の額は、先輩横綱の豊昇龍より72万円も多い。力士が獲得する6万円で計算すると、大の里と豊昇龍の差は400万円超となるわけです」
今場所は結びの一番指定が326本、結び前の一番指定が140本ということで両横綱に懸賞が集中。しかも個人指定では大の里344本、豊昇龍124本と大きな差があるため、両横綱が勝ち続ければ、千秋楽までに2人の差はさらに広がることになる。
豊昇龍は自身の初日からの連勝記録を8に伸ばしている(昨年11月の6連勝が最高)。懸賞は人気のバロメーターといわれているが、横綱昇進後、初の賜杯を抱くことで大の里への一極集中を少しでも分散させることができるのだろうか。