“史上最強の新弟子”“次の横綱”

 そのオトゴンバトより強いといわれているのが、伊勢ヶ濱部屋のオチルサイハンなのである。

「親方衆の間では“史上最強の新弟子”“次の横綱”と言われている。2018年に相撲留学で神奈川・旭丘高に入学。旭丘高は新興の相撲強豪校でモンゴル出身の阿武剋と旭海雄が2年先輩となる。阿武剋と旭海雄は日体大を経て入門したが、オチルサイハンは高校卒業と同時に2021年春に伊勢ヶ濱部屋に入門しています」(前出・相撲担当記者)

 通常は半年から1年ほどの研修期間を経て新弟子検査を受けることになるが、伊勢ヶ濱部屋では当時、モンゴル出身の横綱・照ノ富士が現役だった。外国出身力士は原則1部屋1人の規定があるため、長く研修期間が続いた。今年の1月場所で照ノ富士が引退したことで、伊勢ヶ濱部屋の「外国出身力士枠」が一つ空いたが、それでもすぐにオチルサイハンのデビューとはならなかった。

「元横綱・白鵬の宮城野部屋が不祥事で閉鎖され、2024年4月からは親方と力士が伊勢ヶ濱部屋に転籍してきた。そのなかにモンゴル出身力士の聖白鵬がいたのです。聖白鵬とは別に、もともとの伊勢ヶ濱部屋の外国出身力士枠が認められるのか、相撲協会は判断を保留してきましたが、5月場所後に白鵬が退職したことをきっかけに、聖白鵬とは別枠扱いとして新弟子検査を受検できることになったといいます。

 元横綱・照ノ富士の伊勢ヶ濱親方が“(部屋所属の平幕力士の)草野でこんなに活躍できるなら、あいつ楽しみだな”と漏らしたという逸材です。入門から4年半、尊富士、伯桜鵬、熱海富士、翠富士、草野らと稽古を重ね、兄弟子たちも歯が立たない状態です」(協会関係者)

 今年7月には、横綱・豊昇龍が伊勢ヶ濱部屋の名古屋場所宿舎に出稽古に来たという。

「ところが、豊昇龍でさえオチルサイハンに負けを重ねてしまった。まだ入門前の研修生に横綱が勝てなかったわけです。自信喪失した豊昇龍の途中休場につながったといわれているほどでした。興行ビザ取得が順調に進めば、11月の九州場所の前相撲で2人のモンゴル出身力士が初土俵を踏むことになる」(同前)

 モンゴル出身力士では、昨年11月の九州場所で新弟子検査を受け、錣山部屋からデビューした天狼星も順調に幕下まで番付を上げている。天狼星は元横綱・朝青龍の甥で、豊昇龍のいとこにあたる。明徳義塾中に野球留学したが、相撲に転向した後に高校2年で休学して入門した。モンゴルから怪物が次々と相撲留学し、角界入りしている。名古屋場所では東西の横綱2人合わせて7個の金星を与えたが、角界の“下剋上”はまだまだ続きそうだ。

※週刊ポスト2025年10月3日号

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