事件直前にAさんに対する名誉毀損で裁判が行われていた

「これがわからない世の中なんて…」

 検察官の冒頭陳述などにより、検察官により立証を計画している事件像が明らかになった。まずは、事件までの事実関係の推移を明らかにしていく。

 橋本被告とAさんは2017年に結婚、2019年には長男が誕生した。その後、Aさんが長男を連れて自宅を離れ、橋本被告と別居生活になる。その際、Bさんを含む双方の親を交えて話し合いをしたが、解決はしなかったという。

 同年より離婚調停が行われ、離婚訴訟、複数の家事審判を経て、2022年5月に離婚が成立し、長男の親権はAさんにわたった。検察官の主張では、橋本被告はその一連の流れにおいて、Aさん、Bさんに恨みを持ったのだという。

 将棋棋士としては、離婚訴訟のさなか2021年に棋士を引退。その後、SNS上でAさんに対する誹謗中傷を含む内容を投稿するようになった。2022年12月には次のようなツイートが問題視され、Aさんに対する名誉毀損の疑いで逮捕されている。

〈養育費も払わないクソ野郎がグチャグチャ言うなと言われたって 払いたくても払いようもない こんな理不尽にもずっと耐え続けて 替えの効かない仕事辞める羽目になって これがわからない世の中なんて無差別殺人起こしてから自殺したる〉

 他にも、Aさんの本名と住所を晒し、『僕を地獄の底に落とした殺人鬼』と中傷するなど、自暴自棄な投稿が繰り返されていた。その内容はほとんどが、実子の親権をめぐってのものだった。なお、この裁判においても橋本被告は「自身が行ったことではない」などとして無罪を主張していたが、懲役1年6か月、執行猶予4年の有罪判決を受けた。しかし前述のとおり、橋本被告は判決宣告からおよそ1か月で凶行に及んだのだった。

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