豪華な出演者たち(公式HPより)

背景にコロナ禍で放送された特番 

 近年、民放各局はカラオケバラエティと昭和・平成の名曲特集を量産。現在、『千鳥の鬼レンチャン』はそのトップコンテンツと言っていいでしょう。民放各局のテレビマンは名曲を詰め込んだような構成・演出の番組を手がけることで、老若男女の視聴者を集めようとしています。 

 ただ、名曲をじっくり聴かせたり、ゲーム性を加えることがあっても、そこに笑いを加えるのは簡単ではありません。さじ加減を間違えると「歌好きも笑い好きも逃してしまう」という惨状を招きがちなだけに、『FNS鬼レンチャン歌謡祭』の思い切りの良さは際立っています。 

 そんな思い切りの良さの背景にあるのは、『FNS歌謡祭』という音楽特番のブランド。民放各局はそれぞれ音楽特番のブランドを持っていますが、『FNS歌謡祭』の歴史と信頼は頭1つ抜けていて、その大切なブランドをバラエティに利用できることがフジテレビらしさと言っていいでしょう。 

「歌と笑いの祭典」という点であらためて注目したいのは、2021年8月28日・29日と2022年9月10日・11日に各9時間にわたって放送された『FNSラフ&ミュージック ~歌と笑いの祭典~』。当時は新型コロナウイルスが猛威をふるい、恒例の『FNS27時間テレビ』が見送られる中、代替企画として同特番が放送されました。 

 その『FNSラフ&ミュージック』は歌と笑いを交互に見せていく構成がベースだった一方、『FNS鬼レンチャン歌謡祭』は歌と笑いのコラボを促進。「演出などでアーティストへのリスペクトを示しつつも、イジられたい人はしっかりイジる」という批判されづらい形での進化を感じさせられます。 

 そのメイン出演者が松本人志さん、中居正広さん、ナインティナインだったことを踏まえると時代の変化を感じさせられますが、「歌と笑いの祭典」におけるフジテレビ局内での積み重ねが『FNS鬼レンチャン歌謡祭』の成功につながっているのでしょう。 

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』『どーも、NHK』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

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