店内は高級感あふれる(写真は利用客提供。以下同)
1万5000円で高級魚食べ放題
この『THE LOUNGE』店内はカウンター6席に、団体客にはラウンジスペースも用意されているとのこと。予約は4名以上で、新館である図書館の2階に店を構えている。前出・女性が同店を訪れた日は、ネタの大半が近大で養殖した魚介類だったという。養殖といっても近大の養殖魚は高級魚の扱い。その“高級魚”がネタ箱に所狭しと並んでいた。
「ネタ箱に入っている魚は全て食べ放題との話でしたが、男女4人でも完食できないほどでした(笑)。ネタ箱を完食したグループは過去に1組だけいるそうで、大将はその食べっぷりを笑いのネタにされてましたね」
料理はコースで振る舞われ、前菜や小鉢から始まり、刺身や一品料理、そして握りへと続いて、ラストはオリジナルのスイーツが出てくるという。
提供されるアルコールはビールやワインの他にも「近大酒」というオリジナルの日本酒も用意されている。
「料理と酒代を入れて1人あたり2万円ほどだと思います。北新地にある高級店に比べると安いですし、ネタ箱に入っている魚をすべて食べられるのは魅力ですよね。それよりも、近大の寿司店は、まだまだ知られてないので友達に自慢できるのが良いですよね(笑)。次回の予約は1年近く先というので、驚きました」(同前)
冒頭で述べたように近大の学生たちはその存在すら知らず、現役の近大生に店の存在を伝えると全員が一様に「本当にあるんですか?」「聞いたことないです」と驚嘆する。
大学構内にあるのに学生が利用できず、美食家が夜な夜な集う飲食店──近大の狙いはなんだろうか。近大に取材すると以下のような回答が寄せられた。
まず、構内に鮨店があることは事実とした上で、設立の主旨については「教職員や学外からのお客様が寛げ、新たな実学の方向性が環境・サービスの両面で体感出来る空間・サービスを提供することを目的としてつくられた空間であるため、利用は本学関係者には限定していません」(経営戦略本部広報室。以下同)とのこと。
学生が利用できない理由についても「教職員や学外からのお客様のためにつくられた空間であるため、学生のみでの利用は不可ですが、教職員同伴での入店は可能です」と、設立主旨上の理由だという。
運営は学校や病院など事業所向け給食制度を展開する在阪企業に委託しているとし、紹介制にしている理由については「教職員関係で常時多くの予約があり、近鮨は1日6席の限定営業のため、残念ながら一般の方には予約を取っていただきにくい状況となっています」と、今後も方針は変わらないようだ。
最近では教職員と学生用の公開チャットで「行ってみたい」とか「先生連れて行ってください」という会話もあるそうだ。最高級の近大マグロを食べるにも「まぁ苦労」が必要なようだ。
■取材・文/加藤慶