夫を失って1年半以上立った今、最も後悔していることとは
漫画家の倉田真由美さんは、すい臓がんで闘病していた夫で映画プロデューサーの叶井俊太郎さん(享年56)を自宅で看取った。その経緯を克明に綴った新著『夫が「家で死ぬ」と決めた日 すい臓がんで「余命6か月」の夫を自宅で看取るまで』が発売された。夫を失って1年半が過ぎた今、「激しく後悔していること」があるという。
夫を失った今、一番後悔していること
「今、一番後悔しているのが、夫とハワイ旅行に行っておけばよかったということ。娘が小さい頃から結構旅行には行っていたのですが、もっともっと旅行しておけばよかった」(倉田さん、以下同)
叶井俊太郎さんは、高校卒業後に2年間ハワイに留学をしていた経験がある。
旅行に行った際の叶井俊太郎さん
「ハワイで暮らしていた日々が、すごく楽しかったみたいなんですよ。2年留学していていましたが夫はなぜか英語はしゃべれませんでしたし、洋画も字幕付きで見ていましたけどね(笑い)。よっぽど楽しい思い出があるのか、病気がわかってからも『ハワイ行きたいな~』って言っていたんですよ。『いつか行ければいいね』と言っているうちに、機会を失ってしまいました。昔住んでいたところをもう一回見せてあげたかったですね。
夫の病気が発覚してから、私たちは変わらず仕事を続けていたし、夫も入退院を繰り返していたので、日程の調整は難しかったかもしれないけど、それでも、お互い仕事を休んで、無理してでも行けばよかった。
どこかで『死ぬ』なんて信じていなかったところがあったんですよね。すい臓がんの告知を受けた後、最初の1年は元気だったから、2022年の夏には石垣島に旅行には行きましたが、ハワイも行けたんじゃないかって。彼の望みを叶えてあげられなかった後悔がずっと残っています」
もっと旅に行っておけばよかった理由
夫を失って1年半以上が経ち、癒えぬ深い悲しみや後悔については、新著にも綴られているが、とくに「旅行」には思い入れがある。
「夫が旅立ってから1年半以上立ちましたが、だんだんと家の中から彼の気配が消えていくような寂しさがあるんですよね。
旅は非日常ですから、記憶に強烈に残るんですよね。日常生活の中の記憶もふとした瞬間に想い出すことは多いのですが、旅はより印象が濃いんですよ。その土地のおいしい食べ物や美しい場所とともに、夫の姿が映像になって鮮明に蘇ってくるんです」