本誌直撃に“対立候補レンタル”を否定していた田中甲・市長(左)
「(女性候補に出馬の依頼や資金提供をしたことは)私からは一切ない」──千葉県市川市の田中甲・市長は、本誌『週刊ポスト』の前回記事『田中甲・市川市長、選挙でライバル女性候補潰しのために“ダミー”の対立女性候補を“レンタル”で擁立した疑惑浮上』で、“ダミー”の対立候補を“レンタル”して2馬力選挙を行なった疑惑を全面否定した。
それでも、前回記事は市議会で波紋を広げている。
「いくら市長が否定しても、頼まれて立候補した本人が認めている。市長選でそんなことまでしていたなんて呆れてモノが言えない」(市議会関係者)
別の市議会関係者は、「役所では市長の顔色をうかがって何も言わないが、市政に亀裂が走ったような空気です」と語る。
本誌は今回、田中市長が疑惑について語った音声データを入手した。そのなかで田中市長は衝撃の発言をしていた。
「それ込み込みで2000万渡した」──。
何が行なわれていたのか。その前に田中市長に持ち上がった疑惑を整理しておこう。
田中市長が初当選した2022年の市長選の際、有力なライバルの女性県議の票を減らすため、田中陣営側が謝礼を支払い、「選挙活動をしない名前だけの女性」に立候補させ、女性候補に投じられる票の分散をはかったのではないかという疑惑だ。“対立候補レンタル”である。
本誌は田中陣営の選対幹部を務めた後援会関係者から、「田中氏と私と別の選対幹部の3人で協議した時、『ダミーの候補者を立てて女性県議を攻撃させたり、女性票を横取りしてみてはどうか』という2馬力選挙のアイデアが出て、田中氏は『勝つためなら何でもやる』と本気になった。一般人から女性有権者に刺さるような候補を見つけるために、私が色々と声をかけ、地方などにも遠征して探しました」との証言を得た。
さらに実際に立候補したA子さんを取材すると、「頼まれて出馬したのか」という質問に「イエス」、「選挙運動は一切しなかったのか」という質問にも「イエス」と答えた。
そうした疑惑に対する田中市長の答えが冒頭の言葉だった。