八角体制で冷や飯を食わされる理事という位置づけになっており、二所ノ関一門としても対処する必要がある。理事は一門の利益代表であり、一門のためには1人でも多く要職についてもらいたいわけです。現在は佐渡ヶ嶽親方(元関脇・琴ノ若)が広報部長と総合企画部長、高田川親方(元関脇・安芸乃島)が審判部部長を務めている。当然、あとひとりの理事も要職に付けたい」(前出・若手親方)
つまりは芝田山親方が勇退し、新理事を出す選択肢が二所ノ関一門内で浮上しているということになる。相撲ジャーナリストが言う。
「その候補が大の里の師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)です。一門内の年功序列でいえば湊親方(元前頭・湊富士)、片男波親方(元関脇・玉春日)、西岩親方(元関脇・若の里)といったあたりもいるが、弟子の活躍も影響する。協会の実力者だった琴風さん(元・尾車親方)の後押しがあったとはいえ、佐渡ヶ嶽親方が理事として要職についているのは、協会や一門が琴櫻の日本出身横綱への期待を抱いていたことと無関係ではない。
いまや大関陥落の心配をされる琴櫻に代わって協会の看板になったのが大の里です。その師匠の二所ノ関親方が理事に相応しいという声が一門内で上がっている。現在、協会内の格付けとしては50位の二所ノ関親方が飛び級で10位以内の理事に抜擢される可能性は十分にあるとみられている」
二所ノ関親方は39歳とまだ若いが、後に理事長にもなった時津風親方(元大関・豊山)は32歳で理事になった。その師匠の双葉山(元時津風親方)は39歳で理事に、45歳で理事長になっている。貴乃花親方は理事になったのは37歳の時のことだ。
「同世代のライバルの元横綱・白鵬(40歳)が退職したことも大きい。若嶋津さん(元・二所ノ関親方)が退職して稀勢の里に『二所ノ関』を襲名させた時点で、一門の統帥としての道を歩むのが既定路線になっていた。元横綱という経歴も申し分がない。
それで将来の理事長を争うであろう白鵬が焦って理事に出馬しようとして協会内で孤立していった経緯もある。もはや遠慮することはないということでしょう。大の里人気も追い風になっているし、今回も床山が金銭トラブルで退職するなど問題が起きても、厳しい処分が出ない。それも執行部入りの布石だと見られています」(前出・相撲ジャーナリスト)
師弟で協会を担う存在となっていくのか。
※週刊ポスト2025年10月17・24日号