出世街道を突き進む二所ノ関親方
9月の大相撲秋場所では横綱同士の優勝決定戦を制し、昇進2場所目で横綱として初優勝を飾った大の里。横綱2場所目での優勝は郷里の先輩横綱・輪島と同じ。3月場所、5月場所に続く優勝で、日本出身力士として年間3度優勝を果たしたのは横綱・貴乃花以来28年ぶりのことだった。その人気の高まりの影響は各所に及びそうだ。
今場所の懸賞総本数は2926本と1場所での最多本数を更新し、そのうち4分の1の519本を大の里が獲得。相撲人気は大の里に一極集中している。これが来年1月場所後の理事選の動きにも影響してくると見られているのだ。ある若手親方は理事選に向けた協会内の状況をこう説明する。
「現在62歳の八角理事長(元横綱・北勝海)があと1期続けるとされているが、理事で八角理事長の1歳上の春日野親方(元関脇・栃乃和歌)、境川親方(元小結・両国)、芝田山親方(元横綱・大乃国)、勝ノ浦親方(元前頭・起利錦)の4人の動向が注目されている。年齢的にはあと1期できるため、副理事も含めた現行のメンバーで八角政権を支えるとの見方がある一方で、一部の理事は後進に道を譲るのではないかと言われている」
定員10の理事の椅子は、角界に5つある一門がポストを分け合うかたちで埋まっていく。
「最大派閥の出羽海一門では木瀬親方(元前頭・肥後ノ海)が理事の座を虎視眈々と狙っているが、一門内によしとしない勢力も多く、境川親方が勇退して副理事の藤島親方(元大関・武双山)を理事に昇格させようという動きもある。
同じく大所帯の二所ノ関一門は3人の理事を出しているが、芝田山親方が体調の問題を理由に教習所所長に追いやられている。昨年3月の新体制発足時の職務分掌で総合企画部長兼広報部長から教習所所長に異動。新任理事が就任したり、兼務したりする閑職で左遷だと指摘されてきた。協会の残業代未払い問題などをめぐる処分について批判したことが八角理事長の逆鱗に触れたとされています。