
2024年9月、自民党総裁選立候補者討論会で、質問に答える高市早苗氏。濃く長い眉だった(時事通信フォト)
8日には新執行部とともに野党へ挨拶回りに行ったが、この執行部にも批判の声が上がる。総裁誕生の後ろ盾になったと言われる麻生太郎氏が副総裁に、幹事長には麻生氏の義弟である鈴木俊一氏を起用。国民に寄り添うリーダー、共感されるリーダーとしてイメージチェンジしたはずだったが、メディアには”麻生氏との二枚看板””露骨な人事”という文字が躍り、古い自民党に逆戻りと冷ややかな指摘が並ぶ。だが彼女にとって、未来の不安を希望と夢に変えるために必要なのは新しい人たちではないのかもしれない。総裁選時の「チーム・サナエ」がいい例だ。中心となったのは今でも1980年代に流行した”聖子ちゃんカット”の片山さつき元地方創生担当相と、縁まで塗られた赤い口紅が変わらない松島みどり元法相。彼女たちからは変化も新しさも感じられないし、高市氏にも奇抜さや革新さもない。保守派としての安定志向や価値観、判断基準はそう簡単には変われないし、取り巻く人々も変わらない。しかし安定感や安心感は得ることができるだろう。
旧安倍派で裏金問題で処分を受け、旧統一教会との関係で追及を受けた萩生田光一氏を幹事長代行に起用すると、立憲民主党幹部に対し彼を「傷物が一人」と紹介した。自虐ネタ的な捉え方にネットは賛否両論分かれたが、反論されるより先んずれば人を制すというところだろうか。ひどい言い様で言われてみればその通りだが、高市氏にとっては必要人物。その彼を入れたことについて自民党の有村治子総務会長は「おどるだけの信頼関係がある」「触れないにも嘘になる」と発言。高市氏の大切にする保守について「復古主義ではなく未来志向のリアリスト」と述べた。適材適所の判断というが復古主義的で派閥政治に戻ったような感のあるこの人事に世論は反発。政治とカネの問題に対し姿勢を示せとする公明党との連立は難しくなっている。イメージチェンジの成果はいつどのような形で示されるのだろう。
ガラスの天井を破った高市氏が、このまま次の天井を破ることができるのか。首相指名選挙は15日に行われる。