人のいない会議室(イメージマートより)

「熱血教師」の「指導」呼び出しで……

 栗栖さんは「指導」を理由に、放課後に残されるようになった。教師は、人のいない会議室に栗栖さんを呼び出し、カーテンを閉めて外から見えないようにした。「(触られることが)嫌なら学校を出て行け」「お前はまだ本当の意思を言っていない」などと、強い口調で責めてきた。

 そう言われ続ける中で、栗栖さんはノイローゼのようになっていった。11月ごろ、「それくらいなら我慢します」と言った。だが、それだけでは終わらず、今度は「お前は俺に股間を触ってくれと言っただろう」「他にしたいことはないのか」と何度も言われた。追い詰められて口にした言葉を、逆手に取られたのだ。

 嫌がって反論すると、「他の先生や生徒に言いふらすぞ」と脅された。逃れられないまま、行為はエスカレートした。抱きつかれる、キスをされる、口腔性交まで強いられた。空き教室や体育館の放送室など、周りから見えにくい場所で二人だけの状況を作られ、被害を受けた。

 ずっと嫌だった。当時は、同性愛への偏見が根強い時代だった。被害を明らかにしても、周囲から同性愛者とみられ、それによって友人との人間関係が壊れるのではないかという恐れから、被害を明らかにすることはためらわれた。

 それでも、中学1年の秋と2年のとき、勇気を振り絞って他の先生に被害を訴えたことがある。だが、返ってきたのは「あの先生はそんなことをするような先生じゃない」「お前ら、お似合いだよ」といった言葉だった。自分一人だけが夜遅くまで残されるなど、周囲が異変に気づく場面はあったはずだ。だが、男性教師が男子生徒を遅くまで残していることは「熱心」と受け取られていた。

 親には、中学1年のときに股間を触られ続けていることは言った。だが「『わがままなところがある』と言われると、親としては『そういうところもあるよね』となってしまった」。部活を引退する中学3年の1学期まで、最低でも月に2度ほど放課後に残され、被害を受けた。「教師や周囲の人たちは、なんであのとき対応してくれなかったのか。対応してくれていたら、何の問題もなく中学校生活を送れた」。栗栖さんの心には、そんな思いが残り続けている。

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